研究実績の概要 |
本研究の目的は、ASL法併用UTE-MRIによる新たな血管塞栓術後治療効果判定法を確立することにある。平成30年度は、最適なMRI撮像パラメーターを決定するために下記の検討を行った。 検討1)各金属塞栓子におけるASL併用UTE-MRIの至適パラメーターの決定 体幹部領域の血管塞栓に用いられる各種金属塞栓子(プラチナコイル、インコネルコイル、バスキュラープラグ)をチューブ内留置し、拍動ポンプに連結した血管塞栓ファントムを作成した。TE: 0.1, 0.2, 0.5, 1.0, 2.0ミリ秒、Flip angle(FA): 3, 6, 8度で血管ファントムを撮像し、得られた画像の金属アーチファクトと塞栓子内腔のMRI信号検出能に関して比較検討を行った。結果、いずれの金属塞栓子においてもTE 0.1ミリ秒、FA 6または8度が至適撮像パラメーターであることが明らかとなった。 検討2)体幹部各領域におけるASL併用UTE-MRIの至適パラメーターの決定 これまで5名のボランティアに対して、肺動脈、腎動脈、脾動脈、胃十二指腸動脈のASL併用UTE-MRIの撮像を行った。その際、ASL法としてtime-SLIP法およびASTAR法を、UTE撮像法としてUTE法およびmUTE法を用いて撮像し、それぞれの組み合わせにおける血管描出能を比較検討した。また、ASLパルスの付与位置と撮像タイミングについても検討を行った。なお、TE、FAに関しては検討1)の結果から得られた値を用いた。結果、肺動脈ではASTAR法+UTE法が、腎動脈、脾動脈、胃十二指腸動脈ではASTAR法+mUTE法が最良の撮像法であることが明らかとなった。撮像タイミングの検討では、肺動脈、腎腎動脈、脾動脈、胃十二指腸動脈の至適撮像タイミングはそれぞれ、TI値 800,500,1000,800ミリ秒であることが明らかとなった。
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