研究課題
本研究の目的は、ASL法併用UTE-MRIによる新たな血管塞栓術後治療効果判定法を確立することにある。2018年、2019年度には下記の検討を行なった。検討1)各金属塞栓子におけるASL併用UTE-MRIの至適パラメーターの決定検討2)体幹部各領域におけるASL併用UTE-MRIの至適パラメーターの決定2020年度は検討1)、2)で得られた知見をもとに、臨床例を用いてASL併用UTE-MRIの塞栓後評価法としての実行可能性を評価した。対象はASL併用UTE-MRIでの評価が可能であった肺動静脈奇形、脾臓動脈瘤、腎動脈瘤、総肝動脈瘤の7例12病変とした。塞栓物質は全てプラチナコイルおよびハイドロゲルコイルであった。TI値は対象病変に応じて最適な値を用いた。得られたMRI画像は専用のワークテーションに転送し、2名の放射線科医が評価した。評価項目は、画質の視覚的スコア(1:評価不能~4:最良)、塞栓後部位の血流残存の有無、血流残存評価の確診度(1:診断不能、2:診断可能、3:確実な診断)とした。読影者間の一致率はκ係数を用い評価した。血流残存評価の標準参照画像は高時間分解能造影MRAおよび血管造影とし、塞栓後残存血流の検出感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率を算出した。結果は、いずれの病変もASL併用UTE-MRIの撮像は容易に可能であった。画像の視覚的スコアの中央値は4(範囲:3-4)といずれも診断に適した画像であった。ASL併用UTE-MRI法を用いた塞栓後血流残存診断の感度、特異度、陽性および陰性適中率は全て100%であった。また、診断確信度スコアは全て3(確診)であった。検者間の一致率は、視覚評価スコア、血流残存の有無、確診度の全てにおいて最良値(κ値=1.00)を示した。今後、これらの成果の学会発表や学術論文への発表を予定している。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Eur Radiol
巻: - ページ: -
10.1007/s00330-020-07669-w