研究課題
多形膠芽腫は手術、放射線治療、化学療法の集学的治療にもかかわらず、生存中央期間が2年程度しかない難治性のがんである。腫瘍内に低酸素領域を有し、同部位のグリオーマ幹細胞が放射線抵抗性になっていることが再発の原因であることに着目して、低酸素領域を克服するために2-ニトロイミダゾール化合物の多形膠芽腫およびグリオーマ幹細胞への効果を明らかにした。本年度では、2-ニトロイミダゾール化合物によるグリオーマ幹細胞の細胞死の機序を明らかにした。2-ニトロイミダゾール化合物投与時のグリオーマ幹細胞の代謝特性をメタボローム解析で検討し、細胞死の機序と代謝特性の関連ついて解析し、ミトコンドリア障害が2-ニトロイミダゾール化合物投与による抗腫瘍効果であることを明らかにした。同種マウスの皮下移植モデルにおいて、2-ニトロイミダゾール化合物投与は腫瘍内の低酸素領域の細胞死を誘導し腫瘍内の低酸素領域を減弱させていた。2-ニトロイミダゾール化合物は前年度で明らかにした低酸素領域での放射線増感効果のみならず、低酸素領域に存在するグリオーマ幹細胞へ単剤としても抗腫瘍効果を有し、腫瘍内の低酸素領域減弱効果をも持つことを明らかにした。2-ニトロイミダゾール化合物はPET製剤として膠芽腫の低酸素標識をすることが可能であり、腫瘍へ集積するか否かを診断可能である。2-ニトロイミダゾール化合物の画像診断と治療の融合(theranostics)についても有望な結果が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Cancer Science
巻: Volume 111 ページ: 127-136
10.1111/cas.14224