研究課題/領域番号 |
18K15604
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
馬込 大貴 駒澤大学, 医療健康科学部, 講師 (60725977)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Radiomics / 放射線治療 / 逐次近似再構成 / 事前情報 / 前立腺癌 |
研究実績の概要 |
近年、医用画像の高精細化や、データ解析手法の発展により、医用画像から数百種類の特徴量を抽出し、最新の人工知能技術と組み合わせることで、遺伝子情報と同等の情報を得られることが分かってきた。これらの特徴量解析は、”Radiology”と”-omics”を組み合わせた造語”Radiomics”と呼ばれ、2014年にNature Communications誌に掲載されたことから、大きな注目を集めている。 本研究では、医用画像から算出されるRadiomics特徴量を放射線治療分野に応用し様々な支援を行う、放射線治療支援システムの開発を目的とする。 今年度は、ロバストな特徴量算出のためのCT画像再構成方法の開発と、前立腺癌の画像データベース構築を行った。また、次年度以降に使用予定の様々な機械学習手法に基づく放射線治療後の予後予測手法の開発にも着手した。 (1)過去に撮影された同一患者の画像を事前情報として用いる逐次近似再構成法を開発した。従来法と開発した手法を様々な評価指標を用いて比較した結果、開発した手法により画質が改善されることを確認した。米国ミネソタ大学、City of Hope Medical Centerとの共同研究として、開発した画像再構成法を用いて献体を撮像し、従来よりも良好な画像が再構成できることを確認した。 (2)過去に高精度放射線治療を行った前立腺癌患者のうち、生化学的再発を生じた患者50名と再発を生じなかった患者50名の計100名の画像データを収集し、データベースを構築した。次年度に行う前立腺癌患者におけるRadiomics解析に用いる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度に予定していた画像再構成手法の開発は予定通り終了し、米国ミネソタ大学とCity of Hope Medical Centerにて評価を行った。国際共同研究として世界をリードできる可能性がある。研究成果は、現在英語論文として執筆中である。
次年度以降に行う予定であった様々な機械学習手法に基づく放射線治療後の予後予測手法の開発にも着手している。既に放射線治療領域での有用性が報告されている、人工ニューラルネットワーク、サポートベクターマシーンを使用したが、次年度以降は最新の人工知能技術(deep learning)に基づきシステムを構築する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
作成した画像データベースを用いて前立腺癌患者におけるRadiomics特徴量解析を行う。さらに、Radiomics特徴量と放射線治療に関する様々な特徴量を組み合わせた放射線治療後の予後予測方法の開発を行う。研究成果は、米国放射線腫瘍学会(ASTRO Annual Meeting, 2019/9/15-18, McCormick Place, Chicago, IL)にて発表予定であり、適宜英語論文としてまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に参加・発表した国際会議の旅費が、学内事務手続きの関係上、次年度使用と振り分けられたため。
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