研究課題/領域番号 |
18K15604
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
馬込 大貴 駒澤大学, 医療健康科学部, 准教授 (60725977)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 機械学習 / 深層学習 / 放射線治療 / 線量分布 / 個別化治療 / 最適化 / 前立腺癌 / Radiomics |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、個別化治療の実現を支援する放射線治療支援システムを開発することである。現在の放射線治療は、個々の患者毎に個別化された治療が行われるわけではなく、疾患や病期等が決まれば同一の治療が行われ続けている。我々はこの問題を解決するために、AIをより積極的に活用する支援システムの開発を行っている。該当年度は前立腺癌患者を対象とし、(1)敵対的生成ネットワークに基づきCT画像から放射線治療の線量分布を予測する手法と、(2)低解像度の線量分布から高解像度の放射線線量分布を予測するシステムの開発を行った。 (1)放射線治療計画用のCT画像のみを入力し、放射線線量分布を出力するモデルを作成した。モデルには敵対的生成ネットワークの一種であるpix2pixを用い、GeneratorとDiscriminatorの2つのモデルを敵対的に訓練させることで高精度に放射線線量分布画像を生成できるように学習を行なった。結果として、従来法では入力する必要があった臓器輪郭情報を用いることなく放射線線量分布を高精度に予測することが可能であった。 (2)Deep learningに基づく超解像技術を応用し、放射線線量分布画像の解像度を高めるシステムを開発した。U-netに基づくモデルを用い、算出に時間のかかる高解像度の線量分布を瞬時に予測することが可能であった。 開発した(1)と(2)のモデルを組み合わせたシステムを使用することで、CT画像から自動的に高解像度の放射線線量分布を推定でき、放射線治療計画を支援できる可能性がある。それぞれのモデルの研究成果は英語論文として該当年度に出版済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放射線治療支援のためのRadiomicsや機械・深層学習に基づく予測モデルを開発し、これまでに6編の英語論文を発表した。 今年度は放射線治療計画支援のために放射線線量分布を予測するシステムを開発した。提案システムは、治療計画ソフトウェアの一部として実装することが可能であり、最終的には日常的な臨床現場において個別化医療の実現のために使用されることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
人工知能に基づく予後予測手法をより積極的に臨床応用するため、治験を支援するシステムの開発を予定している。学習データに含まれない症例に対する予測性能を向上させるための手法の検討を行う。 研究成果は、米国医学物理学会(AAPM Annual Meeting, 2021/7/25-29)にて発表予定であり、適宜英語論文としてまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
発表予定であった国際会議がコロナウイルス感染状況を鑑み、オンライン開催への変更もしくは次年度に延期となったため。
英文校正や論文の投稿料として使用予定である。
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