研究課題/領域番号 |
18K15606
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
高村 朋宏 山梨大学, 大学院総合研究部, 臨床助教 (70644920)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 灌流MRI / 脳循環 / 閉塞性脳血管障害 / DSC-MRI / SMS |
研究実績の概要 |
SMS灌流DSC-MRIを用いた閉塞性脳血管障害患者の灌流MRI検査のリクルートを進め、最終的にもやもや病29症例、頸動脈狭窄8症例が蓄積された。 これを元に行った予備解析結果では、もやもや病に関してSMS-DSC MRIを用いて撮像した時間分解能0.5sの高時間分解能データとこのデータから合成した従来法相当の時間分解能データ(2.0s)とで灌流パラメータの定量的比較を行った。結果、前方循環系、後方循環系いずれにおいても脳血流量(CBF)および脳血液量(CBV)が高時間分解能データに有意に高値を示した。TMAX6s以下で定義される血流遅延域内の灌流パラメータもCBVおよびCBFで高時間分解能データにおいて有意に高値を示した。内頚動脈狭窄症については有意差が認められなかった。以上の予備解析の結果からはもやもや病において高時間分解能撮像DSC-MRIは従来法と比して脳血流量や脳血液量に有意な変化が認められた。もやもや病のマネンジメントにおいては脳血液量や脳血流量を初めとした灌流パラメータが重要であり、高時間分解能撮像DSC-MRIの臨床的有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実際の登録症例は、もやもや病については概ね当初予測(登録期間中30症例)を達成したが、頸動脈狭窄症は当初予測(登録期間中20症例)の4割にあたる8症例となった。いずれの症例も血流評価はgold standardである脳血流シンチやPETで行われることが多く、元来症例数も少ないためリクルートが難渋した。これに伴い、当初計画で予定されてたヒストグラム解析やテクスチャー解析、各種計算アルゴリズムの開発に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
予備解析の結果では閉塞性脳血管障害において超高速撮像による灌流パラメータの有意な定量的変化が確認された。予備解析では自動のsegmentationを用いた定量値の変化のみを評価したが、本解析では手動のROI法や視覚的な定性的評価を含めた高速撮像の灌流パラメータや灌流画像の変化を観察する。予備解析では単一の解析ソフトを用いたが、異なるソフトを用いての再現性の確認、或いは違いを検討する。また閉塞性脳血管障害における慢性虚血域と正常域とで分けて梗塞撮像が灌流パラメータに与える定量的、定性的変化を評価する。さらには近年研究が進んでいるニューラルネットワークの手法を用いて従来法灌流画像から超高速撮像画像を作成するアルゴルズムの開発を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例の蓄積に難渋し解析の開始に遅れが生じたため、必要物品の購入を延期したため。
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