研究実績の概要 |
灌流MRIの一つであるDSC-MRIは造影剤急速静注中にある一定の時間間隔で経時的に多数のMRI撮像をすることで、血液の経時的信号変化を得て脳灌流パラメータ(CBF,CBV,MTT,TTP,Tmaxなど)を解析する、脳灌流検査法の一つである。本研究では最近脳神経領域のアプリケーションとして開発された“Simultaneous Multi-Slice(SMS)”を使用してMRIスキャン時間を飛躍的に短縮し高速撮像を行うことで、時間分解能を向上させもやもや病や内頚動脈狭窄症をはじめとした慢性閉塞性脳血管障害に対する有用性を検証するものである。 もやもや病および内頚動脈狭窄症に対するSMS DSC-MRI撮像を行い、現時点でもやもや病29例、内頚動脈狭窄症7例が蓄積された。このデータについて構築した高速撮像によってえられた灌流データから従来法相当の灌流データを作成するアルゴリズムを用いて高速撮像法の有用性を評価した。結果、もやもや病で高速撮像法の有用性が示され、また過去報告がなかった最適時間分解能についても評価が行われた。この結果は論文化が完成し、現在英文誌に投稿中である。内頚動脈狭窄症についても計7例が蓄積され、順次解析、論文化する予定である。また関連する評価項目として、perfusion parameterの有用性を脳腫瘍でも行い既に、海外学会で発表および論文受理(現在 in press)されている。
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