今年度は、IMRTプランに対する4次元線量分布計測を中心に研究を進めた。また、MR-linacへの応用を検討した。MR-linacに対して本システムを使用する前にMR-linacの基礎的な線量特性を調査した。調査結果をまとめ、Journal of Radiation Researchに投稿し、採択された。前年度に報告した「フィルム検出器を用いた4次元線量分布の評価」については、再度投稿先を検討している段階である。 本研究を通じて、新たにプラスチックシンチレータとその周囲を取り囲む円錐台形ミラーを組み合わせることで線量分布を測定可能なシステムを開発した。本システムの測定データから、線量分布を再構成する原理を考案した。これにより、4次元線量分布の測定が可能となった。検出器部分であるシンチレータが予算の都合上小型であり、実際の臨床プランを測定した実験ができていないことが本研究のリミテーションとなる。しかしながら、4次元線量分布の測定が可能となったことで、測定値に腫瘍の動きを加味した線量分布の評価が可能になると考えられ、その臨床的意義は大きい。今後は測定データと患者の腫瘍の動きの時系列を合わせ、腫瘍の動きを加味した4次元線量評価手法を構築し、提案していきたいと考えている。 また、磁場下での線量測定となるMR-linacに対しても品質管理ツールとしての応用が期待させるため、臨床ニーズにあった開発を継続していきたいと考えている。
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