研究課題
2019年度、チェレンコフ光検出器の選定について検討を行った。他の研究グループの報告を参考に、DoseOptics社のC-dose cameraを本研究に用いることとした。C-dose cameraはシンチレータが内蔵されている検出器であり、治療ビームを照射した際には散乱線も同時に検出することができる。この信号をもとににしてビームパルスをトリガーとして検出することができるため、360Hzのビームにおいて、ビームパルスごとに画像を収集することができる。結果として、非常にSN比(Signal-Noise)の高い画像が収集できチェレンコフ光を観測することができる。2019年度は、C-dose cameraを用い、基礎的な測定を中心に実際の治療装置で検証を行った。基礎的な測定としては、Varian社製のTrueBeam エネルギー6Xでのチェレンコフ光の直線性、再現性を評価した。直線性についてはR2で0.9998を示し良好であったが低線量で直線性が崩れた。原因においてはチェレンコフ光の信号が減りノイズによる影響であると考える。再現性については、10回計測で3%以内となった。またCybgberKnifeでも同様に計測を行い、フィルム(EBT3)との比較を行った。プロファイル形状はおおむね一致していた。今年度実施した計測においては治療室は比較的暗めで実施した。これは極力ノイズを抑制するためである。しかし、実際の治療ビームでの計測を考えると、治療室には様々なモニターやランプなどがあり、ノイズレベルが非常に高いとことを予想される。したがって今後様々な照射条件下においてノイズによる影響を調べる必要がある。
2: おおむね順調に進展している
今年度はチェレンコフ光の測定を中心に研究を行った。チェレンコフ光の観測は成功し、カメラの基礎特性について検討を行った。研究の進捗についてはおおむね順調である。
今後はノイズによる影響を十分に評価し、比較的治療室が明るい実際の治療時にもチェレンコフ光が検出できることを目指す。具体的には治療室の明るさを徐々に強めにし、チェレンコフ光の信号変化を評価する。X線の基礎的な測定は終了したため、今後複雑な照射条件でのチェレンコフ光の振る舞いを評価する。電子線についてはまだ測定を行っていないため、今年度実施する。チェレンコフ光の解析においては、生データを直接解析しプロファイルの評価を行っているため、今年度は自動的に解析できるようなソフトウェアの開発も行う。具体的にはフィルムとの比較を行い、プロファイルの相違やガンマ解析などを実施する予定である。また測定を評価する目的でモンテカルロシミュレーションGEATN4による計算体系の構築も合わせて実施する。
今年度への繰り越しされた金額についてはC-dose cameraの技術的な保守などに使用する予定である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Radiation Oncology
巻: 14 ページ: 133
10.1186/s13014-019-1340-y
Journal of Radiation Research
巻: 60 ページ: 116
10.1093/jrr/rry087