肺がんなど呼吸によって位置が時間変化する腫瘍への正確・高精度な放射線治療を実現するため,呼吸を目標状態へと誘導するシステムが利用されている.しかし,この呼吸誘導システムを併用しても呼息・吸息の深さやタイミングが目標状態や予測容易なパターンから逸脱して,照射の正確性の担保・向上が難しくなることがある.そこで放射線治療中の呼吸状態の予測性すなわち再現性向上を目的として,制御工学的な観点から現在の呼吸誘導システムの特性を分析し,コントローラ導入による特性改善を試みた.実験的な評価の結果,開発した新システムでは目標状態逸脱の改善が確認され,より効果的な呼吸誘導の実現可能性が示された.
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