前年度までモンテカルロシミュレーションによるアプリケータへ内蔵する遮蔽体の検討を実施した。今年度はこのモンテカルロシミュレーションの結果をもとに決定した遮蔽体のプロトタイプの作成およびこの作成したプロトタイプを使用した線量測定実験を実施した。プロトタイプの作成に際しては、モンテカルロシミュレーションの結果より、遮蔽効率が最も高いと考えられたタングステンを選択した。また、遮蔽体周囲に作る線源通過用の溝の数については、線量分布の養成の自由度と遮蔽能力の保持とが両立可能な6個を選択した。線量測定実験について線量測定にはガラス線量計を、線源には婦人科腫瘍の放射線治療に主に使用されるIr192線源を使用した。遮蔽体プロトタイプの中心から周辺1cmにガラス線量計を設置した。線源を通過させることのできる溝のうち1つに線源を10秒停留させた場合の線源側の線量と線源対側の線量とを比較して遮蔽体の遮蔽能力について評価した。その結果、線源側に対する線源対側の線量の減少率は88%程度であった。これは前年までに実施したモンテカルロシミュレーションの結果比較し、線量測定などの実験における誤差を考慮するとおおむね一致した結果であったと考えられた。このような結果から、遮蔽体の遮蔽能力はモンテカルロシミュレーションから予測されたものと同等であり、モンテカルロシミュレーションから同等の能力を持った遮蔽体の開発ができたものと考えられた。
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