本研究では、超高精細CT装置を用いたX線CT画像が従来の画像に対して高い空間分解能を有していることから、マイクロCT装置によるin vitroにおける骨梁形態評価に依存せず、in vivoの骨梁形態評価が有効性であるとの仮説を立て、①模擬海綿骨の骨梁構造形態の基礎的評価、②人工骨を用いた有限要素解析による骨梁形態の計算生体力学的特性評価の2項目の検証から前述の仮説を立証することを目的とする。令和4年度はマイクロCT装置によって取得した画像から3Dプリンタを用いて作成された人工腰椎モデルおよび超高精細CT装置にて得られた画像に関して、計算生体力学的特性の評価として有限要素法による応力(弾性強度予測)解析を行った。解析対象は骨梁構造形態解析と同様に海綿骨のみとして、海綿骨領域を3次元的に分割した小領域に対して解析を行った。荷重境界条件としては頭側から面荷重(1mmの強制変位)を作用させ、変位境界条件としては尾側の面拘束とした。各画像に対して材料物性としてヤング率およびポアソン比を設定し、破壊条件は最小主歪み10%とした。モダリティ間の一次回帰係数は、破壊荷重の主ひずみ(N)が0.35、圧縮剛性(N/mm)が0.38、主ひずみの破壊部位体積が4.5、破壊時点の変位が0.29となり、いずれもピアソンの相関係数からモダリティ間の解析値に高い線形相関を認める結果となった。応力解析の方法を用いて椎体骨折に対する構造的強度の定量的に計測することを試みたが、超高精細CT装置の骨梁画像を用いても解析値に補正を行うことによって、マイクロCT装置による画像によるものと同等の結果が得られることを明らかにした。
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