研究課題
本研究はRadiomics (レディオミクス) に基づく放射線治療期間内の患者統計的変動を考慮した予後予測システムの開発を目的とする.本年度は放射線治療中における患者内外の統計変動を考慮したRadiomics特徴量と予後との相関を調査するため,放射線治療期間中における治療ビーム照射前に毎回撮像されるCBCT (cone-beam computed tomography) 画像および予後に関するデータで構成されるデータベースを構築した.対象は3D-CRT(three-dimensional radiation therapy) またはIMRT (intensity modulated radiation therapy) を受けた食道扁平上皮がんの症例とした.画像データとして治療計画CT画像,腫瘍輪郭情報および治療期間中に位置合わせのために毎回撮像されるCBCT画像を収集した.予後に関するデータとしては全生存期間や無病生存期間などを収集した.CBCT画像には腫瘍輪郭情報が付帯されていないためCBCT画像からRadiomics特徴量を抽出するにはCBCT画像上に腫瘍輪郭を設定する必要がある.したがってCBCT画像上に腫瘍輪郭を設定するため現在,治療計画CT画像および治療計画CT画像に付帯されている腫瘍輪郭をリファレンスとしたCBCT画像のDIR(deformable image registration)に取り組んでいる.
3: やや遅れている
本年度は放射線治療期間中におけるCBCT画像および予後に関するデータで構成されるデータベースの構築に終始した.治療期間中の画像データおよび予後に関するデータの収集,特に数年以上前のデータの収集に関して想定以上に時間を要してしまい,本年度は当初予定していたCBCT画像からRadiomics特徴量を抽出するための前段階であるCBCT画像のDIRまでの検討となった.
データベース内全ての症例に対してCBCT画像にDIRを行なった後にCBCT画像からRadiomics特徴量を抽出し,治療期間内におけるCBCT画像ベースRadiomics特徴量の変動を定量化する方法を検討する予定である.そして,定量化された特徴量の変動と予後との相関を調べ,Radiomics に基づく放射線治療期間内の患者統計的変動を考慮した予後予測システムの開発を行なう予定である.得られた研究成果は国内外の学術会議および論文として発表する予定である.
当初,これまでの成果を論文としてまとめ海外の学術雑誌に投稿する予定であったが,今年度中に論文執筆および投稿までの目途が立たなかったため論文英語校正料および論文投稿料に予定した額が残った.次年度の論文投稿のため,繰り越した予算は論文英語校正料および論文投稿料に使用する.
東京大学医学部附属病院 放射線科 放射線治療部門http://u-tokyo-rad.jp/index.html
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