研究課題/領域番号 |
18K15625
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
仲本 宗泰 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (10808877)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 医学物理学 / Radiomics / 放射線治療 / DIR / CBCT画像 / 予後予測 |
研究実績の概要 |
本研究はRadiomics (レディオミクス) に基づく放射線治療期間内の患者統計的変動を考慮した予後予測システムの開発を目的とする. 本年度は構築した放射線治療期間中における治療ビーム照射前に毎回撮像されるCBCT (cone-beam computed tomography) 画像データベースを用いて各症例における統計的変動を含んだRadiomics特徴量を抽出した. 対象は昨年度から引き続き放射線治療を受けた食道扁平上皮がんの症例とした.データベース内には治療期間中に毎回撮像されている症例と1週間隔で撮像されている症例が混在する.以上より統一した間隔で撮像したCBCT画像で解析を行なうため,全症例において治療開始から5週までに撮像された1週間隔の5つのCBCT画像を1シリーズとして解析に用いた. Radiomics特徴量を抽出するために必要な腫瘍輪郭をCBCT画像に設定するため,データベース内の全症例において治療計画CT画像および治療計画CT画像に付帯されている腫瘍輪郭をリファレンスとしてCBCT画像に対してDIR(deformable image registration)を行なった. そして,DIR後のCBCT画像から腫瘍内のRadiomics特徴量を計算し,これを全症例のCBCT画像シリーズに対して行なうことで治療期間中における統計的変動を含んだRadiomics特徴量を抽出した.Radiomics特徴量は原画像,ウェーブレット変換後の画像およびLaplacian of Gaussian (LoG)フィルタ後の画像から計算されるヒストグラムおよびテクスチャ特徴量とした.また,各症例におけるCBCT画像シリーズから抽出したRadiomics特徴量の統計的変動を定量化する方法について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,データベース内に存在する全症例のCBCT画像に対して治療計画CT画像をリファレンスとしてDIRを行なうことで腫瘍輪郭CBCT画像上に設定した.そして,各症例に対してCBCT画像シリーズからRadiomics特徴量を抽出した.さらに抽出したRadiomics特徴量から治療期間中の患者統計変動を定量化する方法について検討する所まで進み,当初予定していた本年度の計画に沿っておおむね進展したといえる.
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今後の研究の推進方策 |
定量化されたRadiomics特徴量の変動と予後との相関について解析を進める.そして相関が高い特徴量の変動を新たなバイオマーカーする.このバイオマーカー用いて機械学習に基づく予後予測モデルを構築し,放射線治療期間中の患者統計的変動を考慮した予後予測システムの開発を行なう.
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに得られた研究成果を国内外の学術会議にて発表する予定であったが,本年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により多くの学術会議がリモート開催となったため学術会議参加旅費に計上していた額が残った.繰り越した予算は学術会議参加旅費,研究を遂行する上で必要な物品の購入や論文投稿料に使用する.
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備考 |
東京大学医学部附属病院 放射線科 放射線治療部門 http://u-tokyo-rad.jp/index.html
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