研究課題
過去の研究では肺のラジオ波焼却術では気管支・肺動脈を閉塞することにより焼却範囲が拡大することが確認されている。しかしながら、凍結療法において気管支・肺動脈を閉塞することにより温度の変化と焼却範囲がどの程度拡がるのかについては明らかになっていない。本研究は肺の凍結療法におけるheat-sink effect を軽減するため、動脈閉塞にて血流を減少させ、気管支閉塞も併用することにより熱伝導性を高める検討を目的としている。Ⅰ. 適切な動脈閉塞法の検討:正常豚を用いて下記の基礎実験を行う(N=4)、1)全身麻酔下に開胸し、左気管支バルーン閉塞下に左肺動脈本幹(N=2)または分枝 (N=2)を結紮する。続いて結紮肺動脈領域および正常肺実質の凍結療法を開胸下に行う。凍結時には温度モニタリングを行い、温度分布を評価する。Ⅱ. 臨床応用に近い適切な動脈閉塞法の検討:正常豚を用いて下記の基礎実験を行う(N=4)。1)全身麻酔下、左気管支バルーン閉塞下に大腿静脈からカテーテルを挿入し左肺動脈本幹(N=2)または分枝(N=2)をバルーンカテーテルにて閉塞する。続いて肺動脈バルーン閉塞領域および正常肺実質の凍結療法を開胸下に行う。凍結時には温度モニタリングを行い、温度分布を評価する。Ⅰ・Ⅱともに凍結療法の数時間後に肺を摘出し病理学的標本を作製する。病理学的検討として① 凍結療法による壊死範囲、② 大きな血管周囲の壊死の程度、③ 凍結部位周囲の虚血性障害の程度と範囲、これら病理組織所見と凍結療法時の画像所見と併せて、安全かつ有効な方法を検討する。
4: 遅れている
生体豚での凍結療法は肋骨が障害となり温度モニタリングがむずかしかった。よって摘出ブタ肺を喚起・血流環流させ生体疑似モデルによる凍結療法を行うこととしたため、当初の計画より遅れが生じた。
摘出ブタ肺を喚起・血流環流させ生体疑似モデルを作成し、凍結療法の至適な肺動脈と気管支閉塞の方法と部位の実験を行う予定である。
実験がうまく進まなかったため、消耗品などの出費が少なかった。
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Journal of Vascular and Interventional Radiology
巻: 29 ページ: 1749-1753
10.1016/j.jvir.2018.05.015