研究課題/領域番号 |
18K15637
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
内匠 浩二 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (50535820)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | CEST |
研究実績の概要 |
抗癌剤を用いた化学療法は、全身の悪性腫瘍に対する標準的治療法の一つであり、特に進行癌症例においては重要な治療法である。経静脈的に投与された抗癌剤は、標的となる腫瘍性病変も含めて全身に分布するが、投与した薬剤が病変に適切な濃度や分布で到達しているかについて評価を行うことは困難なことが多い。近年は高価な薬剤も多数開発されており、適切な投与法の確立、効果・副作用の個人差など、その安全な使用には解決すべき問題も多く、特に患者適合性と治療効果の判定は重要である。 本年度としては、最適化されたchemoCESTの撮像にて抗がん剤に特有の変化する周波数を確認、その画像化を行った。特定の抗がん剤に関してはCEST効果が計測可能であったが、CEST効果の確認が不可能な抗がん剤も存在した。また、新たなCEST解析ソフトを用いて、再度データの評価を行った。体内投与される程度の低濃度の抗がん剤ではやはり検出が困難であったため、さらにシークエンスや画像化の改良が必要である。 生体を対象としたCEST撮像に関しても、シークエンスの最適化を行った。体表など静磁場の不均一な部位に関しても、専用のパッドを作成し、撮像の最適化を行った。特に頭頚部腫瘍に対しては、良好なCEST画像(特にAPT画像)の取得、計測が可能であった。咽喉頭の扁平上皮癌をはじめとする悪性病変は良性病変と比較してAPT値が高く、耳下腺内病変に関しても同様の傾向を認めた。APT以外のCEST効果に関しても評価が可能であった。抗がん剤に最適化したシークエンスでの撮像も可能であると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
低濃度の抗がん剤ではやはり検出が困難であったため、さらにシークエンスや画像化の改良が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
シークエンスの改良に加え、解析ソフトの改良も行うことによって、より低濃度の抗がん剤の検出を可能とし、その後実際の臨床症例を用いて、撮像を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの解析ソフトでは低濃度の抗がん剤の指摘がやや困難であったため、一部改良が必要である。また、新規抗がん剤も含めた実際の患者データの取得が予定通り進んでいないため、次年度へ繰越となった。予算は解析ソフトの改良、開発と新規抗がん剤のCEST評価、定量化に使用する。
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