研究課題/領域番号 |
18K15639
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
田中 匡 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (60750544)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肺内留置マーカー / 放射線治療 |
研究実績の概要 |
放射線治療における肺内留置マーカーに必要な要件としては、動体追跡が可能な透視での視認性と、肺内で移動しないための安定性である。本年度は、まず動体追跡可能なマーカーの形状について検討した。 本院に導入されている粒子線治療装置のX線透視を用いて、マーカーの透視視認性と動体追跡の精度の検証を行った。使用したのは、市販されている放射線治療用のマーカー、血管塞栓用に使用されている液体塞栓物質や金属コイルである。各種ファントムに留置して、実際にX線透視で視認性を確認し、動体追跡を行いログファイルとマーカーの動きについて比較した。結果は、金属量が多く、球形に近いものが透視での視認性が良く動体追跡の精度も良好であった。一方、細長い線状のものは、動体追跡の精度が不良であった。また、コイルの場合は密に留置すれば動体追跡の精度は良好であった。引き続き動体追跡の精度の高い形状について検証を行い、次年度は肺内での安定性についての検討も追加し、マーカーの最適な形状を模索する。 実際にマーカーを肺内に留置して透視の視認性と肺内での安定性を検証する実験を行うために、本年度はex vivoモデルの作成について検討した。摘出ブタ肺を用いて換気灌流を行い、実験可能なex vivoモデルが作成可能であるか検証した。結果は、陽圧換気を行うと肺は良好に拡張して、換気は可能であることが判明した。一方、肺動脈から灌流を行っても、肺胞内に溢流してしまうために、血管内の灌流は困難であることが判明した。換気による影響を検討するex vivoモデルの構築は可能であるが、血流による影響を考慮するには、微小循環の障害のない状態でのファントムが必要であることがわかった。引き続き、次年度に実験可能なex vivoモデルの構築を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
粒子線治療装置の立ち上げに時間がかかったため、マーカーのX線透視での視認性や動体追跡の精度検証の実験を行う時期が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に行った最適な肺内留置マーカーの形状について、X線透視での視認性と肺内での安定性を考慮して模索する。 また、実験を行うためのex vivoモデルの構築について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最適なマーカーの形状の検証が遅れたため、次年度使用が生じた。 次年度には、マーカーの候補となる材料を購入し、引き続き検証を行う。詳細な検証に必要なソフトウェアやサーバーなどを購入する。 また、ex vivoモデルの構築を行うにあたり、材料費や動物実験施設への旅費にあてる。
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