研究課題/領域番号 |
18K15642
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
隈部 篤寛 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70464914)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 早期非小細胞肺癌 / 定位放射線治療 / PET |
研究実績の概要 |
定位放射線治療の対象となりうる、早期非小細胞肺癌の治療前病期診断、治療後の効果判定、増悪及び再発診断において、11C-チオチミジン(4DST)によるポジトロン放射断層撮影(PET)についての知見を得るための比較対象として、まずは18Fフルオロデオキシグルコース(FDG)PETがどのように寄与するのか調査、解析した。治療前の病期診断時、及び定位放射線治療施行例に関しては、放射線治療後の効果判定に、治療後の経過観察症例に関しては再発増悪診断として同検査を施行した。また、コンピューター断層撮像検査(CT)を行って、それと対比することにより、FDG-PETの検査の特性を調査した。PET画像は、CTとの融合画像(PET/CT)、Maximum Intensity Projection (MIP)、ポジトロン放出断層撮影検査といった方法で画像再構成を施行し、腫瘍としての特性、病態観察、そして画像診断に用いた。18F-FDG検査においては、周囲のバックグラウンドの影響のため、病変への軽度の集積の際にその集積による診断が困難となり、原発巣、またリンパ節転移巣いずれの場合においても、その解釈において留意すべきと考えられた。また、治療前のFDG集積による予後の検討も行った。集積の強い集積に関しては、再発率が高いことが解析から示され、PETでの集積の強弱に応じて、放射線治療の強度も変化させることの必要性についても示唆されることとなった。これについてはPETの集積に応じたadaptive radiotherapyの意味を検討する臨床的な前向き試験が必要であると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の遂行のためには、11C-チオチミジン(4DST)によるポジトロン放出断層撮影検査の施行が必要である。しかし、施設設備の関係で、同薬剤を合成した上でのPET検査を施行することが現段階で進んでいない状況である。そのため、4DSTによるPET検査の特性を調べる前段階として、まずは18FフルオロデオキシグルコースPETの特性を探索し、比較対象としての調査を進めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
11C-チオチミジン(4DST)については、当施設の担当者と協議を進めてまずは薬剤合成について継続的に可能かどうかを再度検討する。その上で同時に、他施設で施行した研究用データベースの11C-4DST画像を借用して、それを本研究の解析に用いることができないかについても検討する。その上で、18F-FDG PET及び11C-4DST PET 両者の薬剤の集積特性を比較することで、11C-4DSTの有用性についても探索を行っていく。それにより、両者の薬剤による分子イメージングの治療前・治療後の有用性を明らかにしたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究施行にあったって、薬剤合成のために必要な費用として物品費を計上していた。しかし、研究者の所属する施設において、研究遂行に必要なだけの継続的な薬剤合成が行えていないため、物品費の使用が予想を下回る結果となり、翌年度に繰り越しとなっている。今後は施設の核医学部門担当者とも相談の上で、薬剤合成について検討しなおし、購入予定だった11C-4DST合成のための薬剤は翌年度に購入した上で、研究を継続していく予定である。
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