昨年度の`研究の結果、18F-FDG検査においては、周囲のバックグラウンドの影響のため病変への軽度の集積の際にその集積による診断が困難となり、原発巣、リンパ節転移巣いずれの場合においても、その解釈において留意すべきと考えられた。また予後の検討では、集積の強い場合は再発率が高いことが示され、PETの集積に応じたadaptive radiotherapyの意味を検討する前向き試験が必要であると思われた。多変量解析では、早期肺癌においては腫瘍の胸膜接着が予後因子であることが示された。 その後、4DSTの画像特性の検討に入った。4DST画像としては、ポジトロン放出断層撮影撮影検査及びコンピューター断層撮影検査との融合画像(PET/CT)、最大値投影画像(MIP)を用いて画像診断や解析を行った。その結果、同検査の傾向として、4DSTによるPET/CTでは骨髄への集積がFDG-PET/CTに比して強く、病変の観察を行う場合にバイアスとなり得る点に注意すべきであることが判明した。またFDG-PETの場合と比して、リンパ節転移への集積が認められやすく、初診時の病期診断や定位放射線治療の適応判断に有用である可能性が示唆された。 今後の検討課題としては、手術症例を含めた早期肺癌症例全体を対象として、4DSTによるPET画像の症例集積を増やし、前向きコホート研究を行うことが必要であると考えられる。それにより、画像特性をより詳細に検討し、4DST PETのリンパ節転移や原発巣への正診率を調べ、治療の適応判断や治療計画における適切な標的設定への応用できれば、本検査結果をふまえた放射線治療計画により、放射性肺臓炎を含めた有害事象の軽減を目指した更なる研究の展開が期待できると考えられた。
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