研究課題
①Synthetic MRIによる脳組織容量とミエリン量の推定においてガドリニウム造影剤が及ぼす影響を調べた。造影剤の影響により見かけ上セグメンテーションされた脳組織容量が変化し、ミエリンは増加して計測されることを見出した。多発性硬化症患者などの病勢をMRIで評価する際に造影剤を使用することがあるので、Synthetic MRIで評価する際は造影剤使用の有無について留意する必要があると考えられる。本研究結果はAm J Neuroradiol.誌に原著論文を第一著者として掲載した。②Cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy (CADASIL)では側頭極、外包においてミエリンの減少があることを見出した。この所見はCADASILの早期診断、鑑別に役立つ可能性があると考えられる。本結果はMagn Reson Med Sci.誌に症例報告を共著者として掲載した。③健常成人20名により検討で、Synthetic MRIで得られるミエリンマップをゴールデンスタンダードであるMagnetization transfer (MT)法およびT1強調像とT2強調像の画素強度の比(T1w/T2w)と比較した。白質においてSynthetic MRIとMTがよく相関したが、T1w/T2wとはあまり相関しないことを見出した。病理においてSynthetic MRIとMTsatはミエリンとの良い相関がすでに報告されており、T1w/T2wはミエリンとの相関はあまりよくないことが知られていることから、本研究結果は病理とよく合致すると考えられる。本研究結果はSci Rep.誌に原著論文を共著者として掲載した。
3: やや遅れている
多発性硬化症患者のSynthetic MRIデータの収集は順調に進行しているが、画像データ解析がやや遅れている。現在、多発性硬化症のミエリンイメージによる経時的評価を解析中であり、解析でき次第、学会発表・論文化を検討している。
来年度も引き続き、多発性硬化症患者のMRIデータ収集を進める。データの解析も並行して行い、ミエリンイメージの有用性を示していく。特に脱髄病変の経時的変化を解析し、画像解析によるイメージングバイオマーカーの探索を行う。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Am J Neuroradiol.
巻: 40 ページ: 231-237
10.3174/ajnr.A5921
Magn Reson Med Sci
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Sci Rep.
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