研究課題/領域番号 |
18K15649
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
奥田 光一 金沢医科大学, 一般教育機構, 講師 (60639938)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | モンテカルロ法 / シミュレーション / 数値人体モデル / 心筋血流 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は核医学,MRI,CT検査で共用することが可能な擬人化模型(ファントム)をコンピュータ上で仮想的に作成し,画像化するシミュレーション環境を構築することである。この仮想ファントム(デジタルファントム)は,コンピュータ内で自由に人体の形状や臓器の動きを模し,さらに心筋に集積する放射性医薬品と造影剤の薬物動態および心筋での分布を数学モデルで再現させることである。 デジタルファントムを作成し,その内容を仮想的に画像化するための環境を整えることができている。具体的には,核医学イメージングを行うためのモンテカルロシミュレーションコードSIMIND(SPECTイメージング用コード)やGATE(SPECTおよびPETイメージングが可能な汎用コード)を使用し,結果を画像として表示することが出来るようになった。また,イメージング結果を断層像として画像評価を行うために画像再構成を行う必要があるが,CASToR再構成コードや,NiftyPETコードを活用することで三次元データ(断層像)を構築できるようになった。仮想的に生成したデジタルファントムのイメージング,画像再構成,そして三次元データ解析をシームレスに実施できるようになり,今後のシミュレーション研究におけるプラットフォームとして利用できることとなった。 本年度の研究実績として,論文を1報報告した(シミュレーションと実測との比較)。国際学会のオーラル発表を1回行い(デジタルファントムを用いた心筋血流評価におけるRadiomics解析),国内学会では教育講演(1回,シミュレーション研究)およびオーラル発表(3回,Radiomics解析,人工知能の医用画像への応用研究)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度の目標は,1.心筋細胞/間質に流入する薬物の動態モデルの作成,2.デジタルファントムと正常症例データとの比較,3.心筋血流が低下したデジタルファントムモデルの試作であった。現在,動態モデルの作成に取り組んでいる状況であり,全体の研究進捗状況はやや遅れている。また,デジタルファントムモデルを用いたRadiomics解析の検討を2021年度からスタートさせた。まず,Radiomics解析の基礎検討として,専用のファントムを作成・実験を行い,その結果を論文にまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の目標は,2021年度の目標を引き継ぎ,1.心筋細胞/間質に流入する薬物の動態モデルの作成,2.デジタルファントムと正常症例データとの比較,3.心筋血流が低下したデジタルファントムモデルの試作である。早急に動態モデルの構築を行った上で,実際の臨床症例との比較を実施する予定である。また,核医学イメージングの領域においても,人工知能による解析が進んでおり,2022年度の目標と合わせて,人工知能を活用した上記検討項目を並行して実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19のために,旅費に1500千円を計上していたが,学会開催がオンライン(ハイブリット)に変更となり,旅費の使用額が大幅に減少した。2022年度はオンライン学会に積極的に参加を予定しているため,学会参加費として使用予定である。また,シミュレーション実験の実施に伴い膨大なデータ整理・解析が必要となることが予測されるので,実験補助員の雇用を予定している。
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