本研究課題は強度変調放射線治療計画においてその品質を高めるため、治療計画を定量的に評価する手法を開発する。強度変調像を球面上に展開し、球面調和関数展開することで係数化する手法を確立した。この際必要となる計算環境(高度機能をもつPC、解析ソフト等)を整備することも達成した。MATLABによる計算環境を構築するのみならず、Pythonを用いた環境も整備することで、後々ディープラーニングを用いたAI関係の研究に発展させるための準備を行った。医療用画像や線量データはDICOM規格によってパッケージされており、詳細にわたり解析できるようなin-houseソフトウェアを開発した。これにより、強度変調像の症例抽出に関して本研究に適格と思われる症例を抽出することが可能となった。現在、当院においては、gEUD(generalized equivalent uniform dose)を用いた線量最適化を積極的に行っている。複雑になりがちな線量制約を領域的にかけることが可能なため、非常に線量最適化の効率性に優れている。球面調和関数展開とgEUDを組み合わせることで、治療計画の定量かに対してより良い評価ができると考えており解析を進めている。gEUDに関する内容に関しては第116回医学物理学会にて『gEUDを用いた最適化におけるパラメータaについて』という題目で口演発表を行っている。また、強度変調像のみならず、三次元線量分布データに関しても各断面を球面投影展開することで球面調和関数展開し二次元係数列として保持した。これによりデータの次元を圧縮させ機械学習を効率化することに成功している。
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