研究課題/領域番号 |
18K15650
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
姉帯 優介 関西医科大学, 医学部, 助教 (70809376)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 医学物理 / 医用工学 / 機械学習 / 放射線治療計画 |
研究実績の概要 |
本研究課題では放射線治療計画において,その品質を高めるため,治療計画を定量的に評価する手法を開発する.すでに強度変調像を球面上に展開し,球面調和関数(Spherical Harmonics: SH)展開する手法は令和元年度までに確立していたが,令和2年度では,線量分布にこれを応用することによって,基底を球面調和関数群および切り出し軸からなるテンソル積によって定める展開係数テンソル(SH 係数テンソル)を得ることに成功した.これをすでに集まった頭頸部と前立腺の症例に対し,機械学習を組み合わせて応用することによって,数値化した線量分布の形状を分類する手法に成功した.令和2年度における研究実施計画としていたSHスコアの汎用的モデル化は,線量分布に対して応用したことにより,達成したと評価できる.この成果は論文執筆し現在投稿中である.また,別方面では,強度変調放射線治療における最適化過程の均てん化を図るべく,放射線生物学的指標の一つであるgeneralized equivalent uniform dose (gEUD) を用いた最適化の本質を考察した.これにより,gEUDはその核となる変数aを用いた曲線がその曲線的性質を保存したまま変形することが分かった.これを測地線偏差と見なすことで,このgEUD曲線の曲率停留点付近での振る舞いが最適化上のオブジェクトの均衡に深く関わっていることを見出した.現在この成果も論文執筆し投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
線量分布による症例分類が可能となり,提案手法である球面調和関数を用いた形状の係数化を応用した手法は実用的な側面でも十分価値があることが示された.既にこの成果を論文にまとめあげ,海外査読誌に投稿中である.また副次的に放射線治療の品質をきめるCTアーチファクトが線量に及ぼす程度に関しても評価した.
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今後の研究の推進方策 |
当初の進捗計画と比較して,応用の幅を広げて研究を行いその成果を積極的に論文発表していく予定である.最終年度に向けて総合的な研究の質を高めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により,旅費使用などに制限が生じたため繰越額が生じた.この繰越額は,追加検証に要する計算機器類,ソフトウェアなどや,本研究により得られた複数の成果を論文発表することに充てる.
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