放射線治療において,線量分布計画(以下,治療計画)は非常に重要な過程である.特に腫瘍に放射線を集中させ,周辺の正常臓器の副次的な線量増加を和らげる強度変調放射線治療では,患者固有の状況(腫瘍やそれを取り巻く正常組織の配置,体型など)や治療施設における臨床方針,計画者ごとの経験が反映された複雑な線量分布を得る.その良し悪しは医師が臨床的に判断できるが,既存の手法では線量分布自体を比較したり,定量的に評価・比較するのは難しい.そこで報告者らはこのような線量分布がもっている特徴を幾何学的に解析し,効率的に特徴量を抽出(テンソル化)して扱うことに成功した.
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