研究課題/領域番号 |
18K15651
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
小野 泰之 関西医科大学, 医学部, 助教 (60786698)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | インターベンショナルラジオロジー(IVR) / PMEA / バイオフィルム / カテーテル |
研究実績の概要 |
平成30年度は情報収集活動を中心に研究活動を行った。 研究開始初年度であり、基礎実験や動物実験の開始にあたり効率的に研究を推進していくために関連学会である日本医学放射線学会、日本インターベンショナルラジオロジー学会の学術集会を中心に、関連研究会やJIVROSG会議等に参加し、今日の臨床現場におけるカテーテル関連の血流感染の現状や、PMEAを含むカテーテルコーティングに関する情報収集や最新の知見の獲得を行った。その結果、これらの学会において現在カテーテル関連の発表は一般演題を始め、ランチョンセミナーが開催されるなど臨床的意義や関心の高いテーマであることを実感し、本研究が臨床的ニーズと合致していることが確認された。またPMEAコーティングやバイオフィルム形成抑制に関する研究報告や企業による展示などは見られず、本研究が関連領域において先鋭的なものであると認識できた。 本研究の平成30年度実験実施計画に関連した先行研究であるPMEAコーティングの抗血栓性実験も順調に進行しており、良好な結果が得られている。これらは今後関連学会での報告や論文作成が開始されていく予定である。これにより本研究の目的であるPMEAコーティングのバイオフィルム形成抑制実験についても、先行実験の結果および方法を活かした予備実験が段階的に実施されており、これを継続して引き続き本研究を遂行することで、今後の基礎実験から動物実験へと継続、発展させていくことを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カテーテル関連の最新の知見や、臨床現場における課題など情報収集が順調に進み、また先行実験が良好な結果を示していることもあり現在これらの結果を元にした、計画した予備実験を段階的に重ねており概ね順調に実験計画が進行している。当研究室で別の研究として行われている実験に人新鮮血液を用いた血液循環回路の製作がある。この実験に参加し本実験でも使用できるよう回路の変更などが検討された。カテーテルの血栓質量測定のほか蛋白量の測定が必要であることが分かった。たんぱくの定量にはBio-Rad DC Protein Assay を用い、Lowry法が本実験で使用可能と判断できた。予備実験ではクロルヘキシジンコーティングのカテーテル、Agコーティングカテーテル、PMEAコーティングカテーテルを寒天培地に留置する実験ではPMEAコーティングでは菌が増殖し、Ag、クロルヘキシジンでは菌が増殖しないことが分かった。PMEAでは殺菌効果はないことが分かった。抗菌カテーテルとしてはNegativeな結果であるが、殺菌作用がないとなれば耐性菌の出現が生じないということも言える。殺菌作用がないが菌が付着しないということは臨床的に有意であると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は昨年度の結果をもとに、今後動物実験へとつなげるための基礎実験を開始できるように、実際の実験環境整備や情報収集をはじめとした様々な準備をしていくことを予定している。 また各コーティングカテーテルを使用した抗菌性評価や、非コーティングカテーテルとの比較実験は今後動物実験への応用のために引き続き予備実験として継続が必要と予想される。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は情報収集を中心に活動を行なった結果、当初予定していたPMEAコーテイングカテーテルを用いた予備実験について必要物品購入の計画を見直した。培地を用いた予備実験での結果は予測と異なっていたため、PMEAコーティングがクロルヘキシジン、Agコーティングに比較し菌の増殖が有意に多いというデータを公開する必要があると考えられた。しかし動物実験でのPMEAコーティングと非コーティングカテーテルを比較し抗菌性が確立できれば耐性菌の出現を抑制できる抗菌カテーテルという考え方ができる。培地を用いた実験も有意差を出すために追加する必要がある。また次年度の動物実験本実験にあたり、予備実験の追加などが生じることが予想される。これらを遂行するため次年度に差額助成金を充当する予定となった。
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