研究課題/領域番号 |
18K15662
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
入月 浩美 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (80793926)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | PNPLA4 / ゼブラフィッシュ / 脂質代謝 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、PNPLA4の分子生物学的機能を明らかとし、小児の希少難病であるミトコンドリア呼吸鎖異常症および乳児突然死症候群/乳児突発性危急事態の新たな発症機序を解明することである。本遺伝子は、乳児突発性危急事態として発症したミトコンドリア呼吸鎖異常症患者において、我々が同定した原因遺伝子であり、マウスを除く多様な生物種に発現してリン脂質代謝に関与するが、その詳細は未だ不明である。PNPLA4の生体内での役割を解明するためにはモデル生物を用いた研究が必要不可欠だが、本遺伝子はマウスでは発現していない。そのため、我々はモデル生物としてゼブラフィッシュを選択した。ゼブラフィッシュは世代時間が短く、遺伝学やイメージング解析で非常に優れている。また、CRISPR/Cas9システムなどによって容易に疾患モデルを作製することが可能な脊椎動物である。全ゲノム配列はヒトと高い相同性を有し、遺伝子数や主要臓器・組織の発生および構造もヒトとの類似性が高い。本研究を通してPNPLA4の詳細な分子メカニズムが明らかとなれば、ミトコンドリア呼吸鎖異常症の新たな治療戦略の創出ならびに乳児突然死の予防法提唱に大きく寄与する可能性がある。 本研究では、現在までに、CRISPR/Cas9システムを用いて疾患モデルとなるpnpla4ノックアウトゼブラフィッシュの樹立に成功した。今後、その表現型を詳細に観察するとともに、ミトコンドリア呼吸鎖複合体活性と脂質代謝への影響を調べることで、変異pnpla4が及ぼす生体への影響と脂質代謝への関与を明らかとする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は既に、CRISPR/Cas9システムを用いて疾患モデルとなるpnpla4ノックアウトゼブラフィッシュの樹立に成功した。現在、pnpla4ノックアウトゼブラフィッシュの表現型や、ミトコンドリア呼吸鎖複合体活性と脂質代謝への影響について、詳細な検討を実施しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
現在、pnpla4ノックアウトゼブラフィッシュの表現型や、ミトコンドリア呼吸鎖複合体活性と脂質代謝への影響に関する実験を実施しているところである。今後、RNAシーケンスやリピドミクス解析を実施し、研究内容をさらに発展させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の支出額は当初の予定を下回ったが、差額分を次年度に繰り越し、RNAシーケンス解析やリピドミクス解析に充当する予定である。
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