研究課題
平成30年度の研究報告において、CLDモデルラットに対する7ND-MSC投与が、対照MSCと比較して、肺胞発達遅延や二次性肺高血圧症に対し高い治療効果を有することを確認した。今回さらに、7ND-MSC投与後の肺胞洗浄液(BALF)及び血液を用いた細胞学的評価や免疫組織学的染色を用いた肺血管リモデリング評価について検討を行った。肺胞洗浄液(BALF)を用いた細胞学的評価では、BALF中の総細胞数及びマクロファージ数について、7ND群で有意な減少を認め、7ND-MSCの炎症軽減効果を確認した。さらに肺組織におけるマクロファージに関して、7ND群では肺組織中の総マクロファージ数及びM1マクロファージ数が有意に減少し、M2マクロファージ数が有意に増加していた。本研究から、7ND-MSCは肺組織内の炎症を引き起こすM1マクロファージを抑制し、さらにM1(炎症性)からM2(抗炎症性)へマクロファージの極性を変化させることで、炎症を抑制している可能性が示唆された。さらに血液を用いた細胞学的評価では、7ND群では総細胞数、特にリンパ球数が、対照MSCと比較して減少していた。このことは、7ND-MSCがマクロファージ以外の免疫細胞にも何らかの影響を与え、全身性の非特異的炎症を改善させる可能性が考えられた。次に肺血管リモデリング評価として、α-SMA抗体を用いた肺血管内壁厚(MWT)の測定と、核増殖マーカーであるKi-67抗体を用いたKi-67陽性血管率の評価を行った。その結果、7ND群では肺血管壁肥厚の改善や血管平滑筋細胞の増殖血管減少など、血管リモデリングに対する高い抑制効果を示した。
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Cytotherapy
巻: 22 ページ: 180-192
10.1016/j.jcyt.2020.01.009