研究課題
過去10年で自他研究室から、新生児・早産児脳障害をターゲットとした臍帯血幹細胞および間葉系幹細胞による細胞治療に関する数多くの基礎研究論文が報告された。結果は低酸素・虚血、炎症、酸化ストレスに起因する傷害それぞれにおいてほぼ一様に脳保護効果ありと評価されている。有効性を示唆する論文が多く報告される反面、治療効果の機序を解明するため分子生物学的にアプローチした研究は充分に前進していない。本研究では、将来的にKOマウスを用いたアプローチを可能とするため、マウスによる早産脳障害モデルの確立に努めた。P3マウス(脳成熟度がヒトの在胎23-26週に相当)に対し、生理食塩水またはLPS(0.3㎎/㎏)を腹腔内に投与し、その4時間後に80%酸素に48時間または40-50%酸素に96時間暴露することにより、超早産児の子宮内炎症及び高濃度酸素性脳障害を模したモデルの作成に努めた。その後大気下でP12まで飼育し、免疫組織染色(Olig2/CC1/MAG/PDGFRa)により脳白質においてオリゴデンドロサイトの成熟遅延が誘導されることを証明した。研究代表者が米国研究施設で関連研究に従事するため、国内での研究を一旦中止した。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
Pediatric Research
巻: 86 ページ: 165~173
10.1038/s41390-019-0366-z