研究課題/領域番号 |
18K15672
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
和田 啓介 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (60774338)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 慢性肺疾患 / 新生児 / SOD3 |
研究実績の概要 |
これまでの慢性肺疾患(CLD)モデルラットにおいて、肺組織からmRNAを抽出し、逆転写酵素でcDNAを作製した後に、リアルタイムPCRで相対定量を行い、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)3がCLD群で低下がみられたことを報告した。また、血管新生に関わるアンギオポイエチン2/1の上昇、間葉系幹細胞(MSC)のホーミングに関わるCXCR4の低下、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の低下やハウスキーピング遺伝子として知られるグリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)の上昇を認めた。リアルタイムPCRでは、既報のTNFαやIL-1といった炎症性サイトカインの上昇は見られなかった。 私のこれまでの実験で、高純度間葉系幹細胞(REC)や骨髄由来MSC(BMSC)や臍帯由来MSC(UMSC)の移植では、CLDを有意差をもって改善させることはできなかった。 肺におけるmRNAの発現の低下している遺伝子(SOD3、アンギオポイエチン1、CXCR4)はいずれもMSCで発現している遺伝子であり、これらの遺伝子を過剰発現させたMSCを移植することで、CLDが改善するのではないかと考え、まずは、SOD3遺伝子を過剰発現したMSCを作成した。SOD3過剰発現MSCをCLDモデルラットに移植し、一定の治療効果が見いだされた。すなわち、肺高血圧のひとつの指標である、乾燥右室/左室中隔重量比がSOD3過剰発現MSC移植群では改善した。一方で、肺野の評価はやや改善させる傾向はあるものの、有意差は認められなかった。サンプル数が不足していることや再現性が取れない場合もあることから、繰り返して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験の手技なのか、個体差なのか、MSCの状態の差なのか、実験を行うたびに結果が変わることがあるため、またサンプル数を増やしたいため、反復して実験を行ったいる影響でやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
SOD3を過剰発現させてMSCを移植することでCLDに効果があるかどうかを検討する。また、アンギオポイエチン1やCXCR4についてもMSCに過剰発現させてその効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想していた結果が出ず、繰り返して実験を行う必要があり、さらに新型コロナウイルスの流行により、予定していた実験が思うように進まなかった。そのため、予定していた必要物品を買わなかったため、次年度使用額が生じた。次年度では、その予定していた実験を行うため、それらに必要な物品を購入する予定である。
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