研究課題/領域番号 |
18K15674
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
早川 誠一 広島大学, 病院(医), 助教 (60815314)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 制御性T細胞 / 腸内細菌叢 / 新生児 |
研究実績の概要 |
【対象】2018年度に広島大学病院NICUへ入院した新生児のうち院外出生、先天異常を呈する例、日齢1以降の入院を除外し、在胎週数32週以上、36週未満に限定した37例を経腟分娩群19例、帝王切開群18例に分類した。 【解析結果】①Tregの数的評価:フローサイトメトリーを用いて、臍帯血、新生児末梢血におけるTreg (CD4+CD25+Foxp3+CD127low/- cells)の数的評価を行った。CD4+細胞におけるTregの比率を検討が、CD4+CD25+Foxp3+細胞の割合は、我々が報告した結果と同様に、臍帯血および新生児期後期に比べ新生児期早期に有意に上昇していた。CD4+CD25+CD127low/-細胞の割合はCD4+CD25+Foxp3+細胞に比べて約3%高い割合となったが、経時的な変化に関しては同様に新生時期早期に有意に上昇していた。②Tregの機能評価:Treg isolation kitを用いてTregとresponder T cellを分離し、Treg Suppresion Inspector をにてTreg抑制機能の評価を行った。①と同一検体での解析を試みたが予想より細胞数が限られた影響もあり信頼性のある結果が得られなかった。Treg機能評価に関しては36週以上の症例に限定した評価を検討している。③TCRレパトア解析:細胞よりRNAの抽出、cDNAライブラリーを作製し、次世代シークエンサーによりTCRβ鎖におけるCDR3領域のレパトア解析を試みたが、細胞数の影響でconventional T cell とTregそれぞれの細胞に分類しての解析は困難であった。現在、IOTest Beta Mark TCR Vβレパトア解析キットによるフローサイトメトリーを用いた解析に変更し、解析をすすめている。④腸内細菌叢の解析:便検体よりDNAの抽出を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
制御性T細胞の数的評価は計画に沿って概ね予定通り進行している。しかし、TCR repertoire解析では、解析方法の変更を余儀なくくされ、欠損データにより解析の遅れが生じている。具体的には、conventional TcellとTregそれぞれの細胞からRNAを抽出し次世代シークエンサーによりTCRβ鎖におけるCDR3領域のレパトア解析を行う予定であったが、採取可能な細胞数が限られている影響で解析が困難となり、IOTest Beta Mark TCR Vβレパトワ解析キットを用いたフローサイトメトリーによる解析に変更している。 制御性T細胞機能解析に関しては、研究実施計画に沿ってTreg suppression assayを3組の平均で評価を行っているが、サンプル間でのバラツキが大きく信頼性のある結果が得られていないこと、同一検体での解析が困難であることが問題点となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度の研究では、我々が以前報告した新生児期早期のTregの増加と一致する結果であったが、解析方法を変更し、解析症例数が少ない影響もありTregの増加とTCRレパトアの変化とに関連性は見いだせていない。2019年度は、検討を継続し対象数を増やすことで、Tregの増加とTCRレパトアの変化との関連性について再評価を行う。さらに、2018年度は施行していない腸内細菌叢の解析を行いTregの変化との関連性を検討する。また、限られた細胞数でのTreg機能解析は再現性が乏しくTregの抑制能を示す事ができない結果であった。Treg機能解析に関してもpreliminaryな実験を繰り返し、実験系の確立について再評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
H.30年度は解析方法の変更などにより当初の予定よりも研究の進行が遅れた影響や予定していた学会へ参加が困難となったため、次年度使用額が生じた。変更した解析方法を用いた実験によりH.30年度の遅れを取り戻す予定である。そのため、H.31年度は当初の予定よりも症例数を約20例増やす必要があり、次年度使用額は増加分の実験に当てる予定としてる。
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