研究実績の概要 |
山口県内の重症心身障がい児・者におけるプロテインC(PC)欠乏症の有病率を明らかにするため, 大島分類1~4に相当する患児・患者を対象とした血栓症関連の調査を行っている. 1)これまでに49人のスクリーニングを行った.このうち18人で下肢の深部静脈血栓症(DVT)を認めた.またD-dimerの上昇を認めたのは8例であった.PC活性<75%は45例中10例,プロテインS(PS)活性<60%は45例中5例, 45 例の平均PC/PS比は1.13であった.遺伝性血栓症の疑いがあり, 同意の得られた6人に遺伝子検査を施行したがPROC遺伝子の変異は認められなかった. 2)重症心身障害児・者のうち, 深部静脈血栓症(DVT)の評価ができている40例についてDVTの有無で2群に分けて比較検討を行った。DVTあり群はDVTなし群に比し, 抗てんかん薬の種類数(P<0.001)が多く, VPA(P=0.038)・BZP系(P=0.018)の使用率が高く, APTT延長(P=0.024), PC活性低値(P=0.016)が認められた。引き続き対象のDVTの評価を行い, 多重ロジスティック解析を行う予定である。 3)PC欠乏症の血栓症発症に関連する内的・外的因子を明らかにするため, すでに遺伝子検査でPC欠乏症と診断されている患児と, disease controlとして新生児・小児期に血栓症を発症した患児を前方視的に観察している.事情によりPC欠乏症と診断されている患児が研究から除外されたため, PC欠乏症の患者との比較検討が困難となった.Disease control群の内訳は胎児期/新生児発症の脳梗塞5例, 深部静脈血栓症1例, 脳幹梗塞1例をエントリーした.これまで全例で新規血栓症の発症はなかった.
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