現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
移植関連血栓性微小血管障害(TA-TMA)を対象とした血栓性微小血管障害の病因として含まれる17の遺伝子(CFH, CFHR1, CFHR3, CFHR4, CFHR5, CD55, CD59, CD46, CFI, CFB, CFP, C5, ADAMTS13, CFD, C3, C4BPA, THBD)について次世代シーケンサーで解析を行い、TA-TMA発症例で変異体陽性例は65%であり未発症例の9%と比較して有意に高率であることが示された。本研究では、2017年より宮崎大学と包括連携協定を締結したかずさDNA研究所との共同研究によりエクソン、隣接するイントロン、非翻訳領域について特定領域を濃縮する均等化ターゲットキャプチャー技術を用いてTA-TMA病因とされる17遺伝子について、TA-TMA疾患パネルの作製が既に完了している。このパネルを用いて、移植前に採取した寛解期末梢血もしくは骨髄液のゲノムDNAを使用し検討を行った。 TA-TMAをきたした患者検体18例(宮崎大学、近畿大学、兵庫県立こども病院、九州がんセンター)とコントロール検体16例を、かずさDNA研究所で次世代シーケンサーHiSeq2500を使用し、NextGENeソフトウエアを用いて解析した。すべての変異体からSNPを除外しコーディング変異、フレームシフト、スプライシングバリアントを抽出するところまで終了した。TA-TMA 18検体中12検体に病的変異、もしくは文献上に報告がある変異を認めた。また、18検体中4検体には、文献の報告はないが、低頻度MAF(major allele frequency)の変異を認めた。さらに症例数を拡大して統計解析も行いながら臨床的意義があるかの検討を行っている
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次年度使用額が生じた理由 |
協力施設からの検体収集が遅滞しており、TA-TMAを対象とした血栓性微小血管障害の病因として含まれる17の遺伝子(CFH, CFHR1, CFHR3, CFHR4, CFHR5, CD55, CD59, CD46, CFI, CFB, CFP, C5, ADAMTS13, CFD, C3, C4BPA, THBD)について次世代シーケンサーでの解析を行っていないため、その費用を使用していないこと、コロナ感染症の影響で学会参加などできなかったため旅費の使用がなかったことから、次年度使用額が生じた。
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