研究課題
川崎病患者における血流下血栓可視装置を用いた血小板血栓形成能評価を終え、川崎病急性期における血小板活性化は、「血栓形成開始が早まること」として表れ、「血栓強度が強くなること」としては表れない可能性があることがわかった。流血下の血栓形成動態を考慮すると、欧米では川崎病冠動脈障害のリモデリングに寄与するとの報告もあるGPⅡb/Ⅲa阻害薬の有効性が期待される。ADAMTS13などの因子が川崎病における病勢、合併症に関与するかどうかを統計学的に解明し、川崎病治療前において、ADAMTS13活性は低下し、VWF:Agの上昇とも相乗して、VWF:Ag/ADAMTS13活性比は上昇していた。これらは治療経過とともに改善した。ADAMTS13:Acは治療1週間後において、タンパク、アルブミン、ナトリウムと相関、FDP、CRPと逆相関した。VWF:Ag/ADAMTS13:Ac比は治療前・1週間後とも白血球数と逆相関し、アルブミン、ナトリウムと相関した。ADAMTS13:Ac、VWF:Ag/ADAMTS13:Ac比共にアルブミン、ナトリウムといった血管透過性亢進・血管内皮障害を示唆するパラメータと相関していた。またマルチマー解析・IEFの解析を行うことで、ADAMTS13の中でもbindingしたものとfreeのものをわけて評価し、ADAMTS13の形態が川崎病治療の反応性に関わっていることがわかった。これらのことからADAMTS13の相対的低下は川崎病血管炎・冠動脈病変の病勢に影響している可能性がある。以上の結果をまとめ、論文掲載された。
3: やや遅れている
ADAMTS13などの因子が川崎病における病勢、合併症に関与するかどうかの検討について、ようやく論文掲載に至ったが、多くの追加実験を要し、時間を要してしまった。川崎病モデルマウスの作成に当たって情報を集めているが、見込みの立つモデルがまだ見つかっていない。Flow chamber system・循環ポンプシステムの動作不良のため度々実験を中断せざるを得ない状況である。
血流下血栓可視装置についての検討を早急に論文化する。川崎病モデルマウス作成の知見を集め、Flow chamber system・循環ポンプシステムを安定して使用できるように努める。
今年度の実験計画に遅れがあった。次年度内に実験計画が追いつける予定であり、川崎病モデルマウスやFlow chamber system・循環ポンプシステムへの使用を計画している。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Thromb Res.
巻: 179 ページ: 1-10
10.1016/j.thromres.2019.04.026.
巻: 174 ページ: 76-83
10.1016/j.thromres.2018.12.016.