研究課題/領域番号 |
18K15684
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
辻井 信之 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (00571001)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 川崎病 / T-TAS / shear stress |
研究実績の概要 |
川崎病患者における血流下血栓可視装置を用いた血小板血栓形成能評価を終え、川崎病急性期における血小板活性化は「血栓形成開始が早まること」としてあらわれ、「血栓強度が強くなること」としてはあらわれない可能性があることがわかった。抗血小板薬の血小板活性化抑制作用は低用量・中等量アスピリン、またフルルビプロフェン間で有意差はないこと、また十分であることが示された。流血下の血栓動態を考慮すると、中等量アスピリンは必要でなく、GPIIb/IIIa阻害薬といった血栓形成開始を遅延する作用をもつ抗血小板薬がよりreasonableであると考えられた。この結果は2019年10月に開催された第39回日本川崎病学会で優秀演題賞を受賞し、論文掲載された。 ADAMTS13などの因子が川崎病における病勢・合併症に関与するかどうか統計学的に解明し、川崎病治療前において、ADAMTS13活性は低下し、VWF:Agの上昇とも相乗して、VWF:Ag/ADAMTS13活性比は上昇していた。これらは治療経過とともに改善し、アルブミン、ナトリウムといった血管透過性亢進・血管内皮障害を示唆するパラメータと相関していた。また、マルチマー解析・IEFの解析を行うことで、ADAMTS13の中でもbindingしたものとfreeのものを分けて評価し、ADAMTS13の形態が川崎病治療の反応性に関わっていることがわかった。これらのことからADAMTS13の相対的な低下は川崎病血管炎・冠動脈病変の病勢に影響している可能性があることが示され、論文掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
川崎病患者における血流下血栓可視装置を用いた血小板血栓形成能評価についての論文、ADAMTS13などの因子が川崎病における病勢、合併症に関与するについての論文が掲載され、多くの追加実験・解析を要し、時間がかかってしまった。 川崎病モデルマウスの作成にあたって情報を集めているが、見込みのたつモデルがまだ見つかっていない。Flow chamber system・循環ポンプシステムの運用に時間がかかる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
川崎病モデルマウス作成の知見を集め、Flow chamber system・循環ポンプシステムを安定して使用できるように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画よりも消耗品が少ない量で研究遂行できたため次年度使用額が生じた。翌年度の助成金と合わせて、当初計画での消耗品購入のための使用を引き続き行っていく予定である。
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