川崎病患者における血流下血栓可視装置を用いた血小板血栓形成能評価を終え、川崎病急性期における血小板活性化は「血栓形成開始が早まること」としてあらわれ、「血栓強度が強くなること」としてはあらわれない可能性があることがわかった。抗血小板薬の血小板活性化抑制作用は低用量・中等量アスピリン、またフルルビプロフェン間で有意差はないこと、また十分であることが示された。流血下の血栓動態を考慮すると、中等量アスピリンは必要でなく、GPIIb/IIIa阻害薬といった血栓形成開始を遅延する作用をもつ抗血小板薬がよりreasonableであると考えられた。この結果は2019年10月に開催された第39回日本川崎病学会で優秀演題賞を受賞し、論文掲載された。 ADAMTS13などの因子が川崎病における病勢・合併症に関与するかどうか統計学的に解明し、川崎病治療前において、ADAMTS13活性は低下し、VWF:Agの上昇とも相乗して、VWF:Ag/ADAMTS13活性比は上昇していた。これらは治療経過とともに改善し、アルブミン、ナトリウムといった血管透過性亢進・血管内皮障害を示唆するパラメータと相関していた。また、マルチマー解析・IEFの解析を行うことで、ADAMTS13の中でもbindingしたものとfreeのものを分けて評価し、ADAMTS13の形態が川崎病治療の反応性に関わっていることがわかった。これらのことからADAMTS13の相対的な低下は川崎病血管炎・冠動脈病変の病勢に影響している可能性があることが示され、論文掲載された。
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