人体にある様々な細胞が、どのように働くかは、細胞内にあるゲノム情報により制御される。ゲノム情報は、つねに「働いている状態」となっている訳ではなく、「働いている」「やすんでいる」の組み合わせにより、多様な働きが作り出されている。ゲノムの中のchr15q11.2という領域は、脳のはたらきに大きく関わっている。この領域が欠けている患者由来iPS 細胞において、「休んでいる」状態になっているゲノム情報が、「働いている」状態へと勝手に変換しやすくなっていた。人為的に領域欠失させた細胞は、細胞自体を維持するのが難しく、この領域がiPS細胞において極めて重要であると考えられた。
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