研究課題/領域番号 |
18K15692
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
弓削 康太郎 久留米大学, 医学部, 助教 (20624472)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レット症候群 / グレリン / 自律神経 / 睡眠 |
研究実績の概要 |
レット症候群(RTT)は、乳児期に発症し重度知的障害、自閉、てんかん、ジストニアなどを特徴とする神経発達障害で、MeCP2変異が主な原因である。申請者らは、 胃・腸管ホルモンであるグレリンの多彩な生理活性に着目し、グレリンによるRTT治療研究を進めてきた結果、ジストニアや睡眠、便秘の改善効果を認めている。本研究は、RTTモデル(MeCP2欠損)マウスを利用してグレリンの治療メカニズムを明らかにすることが目的である。 これまでにRTTモデルマウスと対象(野生型マウス)の全脳組織・視床下部・脳幹・胃におけるグレリン・グレリン受容体遺伝子発現をリアルタイムPCR法によって解析をし、両者に有意な差はなかった。またグレリン投与によりRTTモデルマウスと対象の脳内ドパミン・ノルアドレナリンの変化をマイクロダイアリシス法によって比較・解析をした。分泌能は維持されているが、新規ストレス刺激による反応性が障害されている可能性が考えられた。 本年度は、RTTモデルマウスの病態におけるグレリンの作用を調べるための基礎となる詳細な活動評価を行った。赤外線活動量計による活動量測定、ホイールランニング回転計による自発運動量の測定の結果、野生型マウスに比べて、モデルマウスでは、明らかに活動量、運動が低下すること、更に、夜間の活動量が低下することが明らかとなった。また、簡易睡眠評価や脳波解析を行った結果、睡眠の断片化や睡眠ステージの割合の変化が観察された。現在、心拍変動解析の測定法の確立を進めており、次年度以降は、グレリン投与が活動量、睡眠、心拍変動解析に及ぼす影響を解析することで、作用メカニズムの解明を目指したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RTTモデルマウスの体格が小さく、また侵襲に弱いため、脳波や心電図のモデルマウスへの埋め込み手技、測定方法を確立するのに想定以上に時間を要した。またコロナ禍により参加を予定していた学会・研究会・打ち合わせが延期となり、研究進捗に影響しやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、RTTモデルマウスの活動量、睡眠の評価方法は確立し、心拍変動解析の測定法は確立を進めている。次年度以降は、グレリン投与がこれらの活動量、睡眠、心拍変動に及ぼす影響の解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により参加を予定していた学会・研究会・打ち合わせが延期となり、研究進捗が遅れたため、研究期間を延長し、次年使用額が生じた。
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