研究実績の概要 |
PFAPA症候群は小児に発症する最も頻度の高い周期性発熱疾患であり、本疾患の発熱には自然免疫応答による炎症反応が関与していると推測されている。また、口蓋扁桃摘出術によって高率に症状の寛解が得られること、さらに、発熱と同時に扁桃炎を随伴する症例が多いことから、扁桃組織が本疾患の発熱や病態形成に重要な役割を担っていると考えられる。本研究では、本疾患の扁桃組織における自然免疫関連遺伝子の発現パターンをmicroarrayを用いて解析することにより、どのような自然免疫系の分子経路が活性化されているかを解析することを目的としている。 本研究を開始するにあたり、施設内の倫理員会の承認を取得し、サンプルの収集や保存の体制整備を行った。また、扁桃組織からのRNA抽出やmicroarrayなどの手技や方法を確立した。 予備試験として、PFAPA症候群8症例の口蓋扁桃よりRNAを抽出し、microarrayを行った。自然免疫関連遺伝子として、toll-like receptors (TLRs), nod-like receptors (NLRs), RIG-like receptors (RLRs), C-type lectin receptors (CLRs), DNA sensorsの発現に着目した。これらの遺伝子群の発現パターンを解析すると、2群に分かれる傾向にあることが示された。このことから、本疾患における発熱機序には、2通りの分子経路がある可能性が示唆された。本研究では、サンプルサイズを大きくし、key roleを担う具体的な遺伝子(群)やその発現細胞、活性化されているpathwayついて解析することを目的としている。現在検体を追加し、全15症例の検体を収集した。各検体についてRNAを抽出し、microarrayを実施した。また、予備試験においてphenotypeにも違いを認めており、発熱の分子経路と臨床病型との関連についての検討も行うため、各患者の臨床情報の収集も行っている。
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