研究課題
本年度は、(1) ニーマンピック病C型 (NPC) に特徴的な脂質の解析に関する検討、(2) 細胞内異常代謝の局在に関する検討、(3) 脂質代謝の変動解析を進めた。(1) ニーマンピック病C型に特徴的な脂質の解析に関する検討:既報で報告されていた未知脂質について、官能基特異的誘導体化を用いた構造式の絞り込みや、最新式のタンデム質量分析に基づく構造解析によって、構造式の絞り込みを行った。その結果、1つの構造式を推測するに至った。化合物の有機合成と血液を用いた同定作業も行った結果、新規脂質であると同定するに至った。(2) 細胞内異常代謝の局在に関する検討:細胞内小器官の蛍光染色試薬を各種検討し、正しく細胞内小器官をトレースできることを確認した。次いで、PDMSやガラスなどの各種素材を元にした、分画用マイクロチャネルデバイスの作製に着手した。細胞の通過が可能であることを確認した。(3) 脂質代謝の変動解析:抱合型コレステロール代謝物について、測定法を構築し、それを基に診断性能評価を行い、尿を用いたNPC診断が可能であることを見出した。また、メタボロミクス解析手法を用いて、NPC患者血液中の網羅的な脂質類解析を行い、健常人と異なるプロファイルであることを見出した。
2: おおむね順調に進展している
前述の研究実績の概要に示した通り、計画した研究内容3項目のいずれにおいても、順調にデータが得られておりため。
当初の計画通り進める予定である。(1) ニーマンピック病C型 (NPC) に特徴的な脂質の解析に関する検討については、予定した内容がほぼ完了しており、この進捗で十分当初の計画を遂行したと言える。(2) 細胞内異常代謝の局在に関する検討に関しては、生化学的な手法についてもより多くの検討を加え、詳細な解析を続ける予定である。(3) 脂質異常代謝の解析についても、継続的に網羅的な脂質解析を続けることで、より多くのデータを取得予定である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
Clin. Chim. Acta
巻: 494 ページ: 58-63
10.1016/j.cca.2019.03.1610
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http://www.pharm.hosp.tohoku.ac.jp/Study/gyouseki.html