研究課題
本研究では、(1) ニーマンピック病C型 (NPC) に特徴的な脂質の解析に関する検討、(2) 細胞内異常代謝の局在に関する検討、(3) 脂質代謝の変動解析を進めた。(1) ニーマンピック病C型に特徴的な脂質の解析に関する検討:既報 (Giese AK,, et al., 2015) で報告されていた未知脂質 (Lysosphingomyelin-509) の構造解析を行った。官能基特異的誘導体化を用いた構造式の絞り込みや最新式のタンデム質量分析法に基づき、部分構造推定を行った。精密質量値と合わせて、構造の絞り込みを行った。その結果、1つの構造式を推測するに至った。次いで、当該化合物の合成ルートを設計し、有機合成を行った。合成標品と患者血液を用いて、同定した結果、新規脂質N-palmitoyl-O-phosphocholine-serineであると同定するに至った。(2) 細胞内異常代謝の局在に関する検討:細胞内小器官の蛍光染色試薬を各種検討し、正しく細胞内小器官をトレースできることを確認した。次いで、PDMSやガラスなどの各種素材を元にした、分画用マイクロチャネルデバイスの作製に着手した。試作したマイクロチャネルデバイスを利用して、細胞の破砕が可能であり、小器官分画が可能であることが示唆される結果を得た。(3) 脂質代謝の変動解析:抱合型コレステロール代謝物について、測定法を構築し、それを基に診断性能評価を行い、尿を用いたNPC診断が可能であることを見出した。また、メタボロミクス解析手法を用いて、NPC患者血液中の網羅的な脂質類解析を行い、健常人と異なるプロファイルであることを見出した。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件)
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