研究課題/領域番号 |
18K15702
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
齋藤 章治 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (10623762)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | がん免疫療法 / T細胞療法 / 腫瘍溶解ウイルス |
研究実績の概要 |
腫瘍溶解ウイルスの固形腫瘍に対する感染効率を評価するため、GFP強制発現腫瘍溶解ウイルスを作成した。In vitroにおいてこのウイルスが複数の神経芽種細胞株および肉腫細胞株に対し効率よく遺伝子導入されることを、腫瘍細胞表面上のGFP発現をフローサイトメトリー法で評価することにより確認した。このウイルスは、比較的低濃度から、腫瘍細胞にGFPを発現させることが明らかとなった。このため、現在X抗原発現腫瘍溶解ウイルスを作成中であり、ウイルスが完成次第、これらの腫瘍へのin vitroにおける遺伝子強制発現効率につき、フローサイトメトリー法を用いて評価する。また、in vitroにおいて高効率にX抗原を発現させることができれば、担癌マウスモデルを作成し、in vivoにおけるX抗原発現効率についても評価を行う。 上記実験と並行して、X抗原特異的T細胞の樹立も進めている。X抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子については、既存のベクターを遺伝子組み換えにより改変することで、新規のキメラ抗原受容体ベクターを完成させた。しかし、新規ベクターの遺伝子導入効率および、T細胞培養後の標的キメラ抗原受容体の発現効率が劣るため、さらなる培養方法の改良が必要と考えられる。このため、現在効率の良い培養法の確立を目指して、理想的なフィーダー細胞の探索や、サイトカインの組み合わせなどを調整している。高効率のX抗原特異的T細胞が樹立され次第、X抗原陽性腫瘍細胞に対する抗腫瘍効果を評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vitroにおける腫瘍溶解ウイルスの遺伝子導入効率は良好であり、X抗原遺伝子導入ウイルスについても同様の効率が期待できる。一方、X抗原特異的CAR-T細胞の樹立には、T細胞培養の効率性を高めるための工夫が必要と思われ、当初の予定よりも時間を要する可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きX抗原発現アデノウイルスベクターの作成を継続し、完成でき次第、in vitroおよびin vivoでの発現効率について評価を行う。また引き続き、X抗原特異的T細胞の効率の良い培養法の確立に向け、研究を進めていく。X抗原特異的T細胞が樹立され次第、in vitroおよびin vivoにおけるX抗原特異的T細胞の、X抗原陽性腫瘍に対する抗腫瘍効果を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由 当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。 使用計画 次年度使用額は平成31年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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