研究課題
2021年度は、引き続きヒトiPS細胞の培養系を用いて、ニューロンおよびミクログリアへの分化の実験と、各分化段階における細胞特性の評価を行った。ニューロンへの分化の調節およびHPGDS発現量の調節が可能なTet-onシステムを備えたPiggybacベクターを設計、作成した。これをiPS細胞に導入してのニューロン、ミクログリアへの分化実験を行った。HPGDS強制発現iPS細胞においては、コントロールに比べて、iPS細胞の継代の過程で分化細胞の出現と増加が促進される現象が確認され、HPGDS発現量の違いがiPS細胞の分化の速度に影響する可能性が示唆された。一方、ミクログリアでのHPGDS発現量による細胞の遊走能、貪食能の違いについては、マウスプライマリカルチャ―での検討も並行して行っているが、現時点ではっきりとした差異を検出できておらず、引き続き検討を行う必要がある。iPS細胞より分化させたニューロンと、HPGDS発現量を制御したiPS細胞由来ミクログリアの共培養系に関して、三次元共培養によるスフェロイド形成のための培養機器を購入し、実験を行うための環境を整えた。しかしながら実際に共培養を行って、ニューロン-ミクログリアの相互作用について、HPGDS―PGD2経路の影響を検討し明らかにするには至らなかった。本研究における研究目標の一つであったニューロン-ミクログリアの相互作用の解明に関しては、本研究の後継課題(基盤C)においても引き続き検討を行い、HPGDS-PGD2経路と神経発生、自閉スペクトラム症の関連について明らかにしていく予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件)
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