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2021 年度 実施状況報告書

骨形成不全症に対する骨カップリングを標的とした新規治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K15708
研究機関大阪大学

研究代表者

大幡 泰久  大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20805460)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード骨形成不全症
研究実績の概要

骨形成不全症(OI)は主にI型コラーゲンの異常により骨脆弱性を呈する先天性骨系統疾患である。通常骨は破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成からなる骨カップリングが正常に起こることで骨強度が維持されているが、OIではこの骨カップリングに異常があり、破骨細胞による骨吸収が亢進し、病態を増悪していることが知られている。
本研究では骨カップリング異常を標的としたOIに対する新規治療の開発を目的としている。OIにおける骨カップリング異常の原因を明らかにするため、骨形成不全症モデルマウスのoimマウスより骨髄を採取し、骨芽細胞分化を行った。骨芽細胞分化マーカーが発現していることを確認し、分化誘導の成功を確認した。この条件下でoimマウス由来細胞では破骨細胞誘導が促進していることを、TRAP染色や破骨細胞分化マーカーの発現で確認した。破骨細胞分化亢進の誘因となる分子を網羅的に探索するためRNAseqを行ったところ、これまで別の破骨細胞分化促進が報告されている疾患でその病因であることが報告されているfactor Xの発現がOIにおいても有意に増加していることが明らかとなった。この発現増加の機構を探索するため上記RNAseqのデータをontology解析したところ、factor Xの発現制御に関わるシグナル伝達を担うfactor Yの発現も増加していることが確認された。
このfactor Xがoimマウス血清で濃度増加していないかELISA法で確認したが、血清中ではほぼ検出感度以下であった。そこで次に骨芽細胞分化条件での培養上清中の濃度を測定したが、野生型マウスとoimマウス由来培地において有意な差は見出させなかった。このことは上記培養実験ではfactor X産生細胞の細胞数をそろえることができていないことが示唆され、factor X産生細胞の同定が必要であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究において破骨細胞機能の亢進の原因を解明することが、骨カップリング異常を標的とした新規治療法の開発には必要であるが、上記概要に示したように、別の疾患で破骨細胞分化誘導機能が知られているfactor XがOIの病態モデルマウス由来骨芽細胞初代培養で有意に亢進していることを明らかとした。また今回同定されたfactor Xの発現亢進機序についても、シグナル伝達経路の一部を担うfactor Yが亢進しており、本病態に寄与していることが示唆される知見を得た。これらの結果は、factor XやYを標的とした新規治療法の開発に発展することが期待されるが、本年度明らかにする予定であった骨芽細胞初代培養における培養液中での発現増加を明らかにできず、そのためにはfactor X産生細胞の同定が必要であると考えられたが、未解明であるため、「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

本研究で見いだされたfactor X産生細胞を同定するため、single cell RNAseqを行う。また破骨細胞自体にも野生型マウス骨髄由来とoimマウス骨髄由来の間に差がないか確認するため、初代培養破骨細胞分化誘導条件でRNAseqを行い比較を行う。

次年度使用額が生じた理由

本研究で見いだされたfactor Xの発現細胞を探求するため、single cell RNAseqを行う必要が生じた。本実験遂行には準備が必要であるため、本実験を次年度に使用する必要が生じた。そのため本実験の遂行に必要である820,000円を次年度使用予定額として補助事業期間延長を申請し受理された。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Genotype-phenotype analysis, and assessment of the importance of the zinc-binding site in PHEX in Japanese patients with X-linked hypophosphatemic rickets using 3D structure modeling2021

    • 著者名/発表者名
      Ishihara Yasuki、Ohata Yasuhisa、et al.
    • 雑誌名

      Bone

      巻: 153 ページ: 116135~116135

    • DOI

      10.1016/j.bone.2021.116135

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A case of HDR syndrome coexisting with tetralogy of Fallot, with a novel GATA3 mutation, which manifested as a renal abscess2021

    • 著者名/発表者名
      Ikeuchi Mayo、Kiyota Kyoko、Itonaga Tomoyo、Kawano-Matsuda Fumika、Ohata Yasuhisa、Fujiwara Makoto、Kubota Takuo、Ozono Keiichi、Ihara Kenji
    • 雑誌名

      CEN Case Reports

      巻: 10 ページ: 241~243

    • DOI

      10.1007/s13730-020-00551-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Increased S1P expression in osteoclasts enhances bone formation in an animal model of Paget's disease2021

    • 著者名/発表者名
      Nagata Yuki、Miyagawa Kazuaki、Ohata Yasuhisa、Petrusca Daniela N.、Pagnotti Gabriel M.、Mohammad Khalid S.、Guise Theresa A.、Windle Jolene J.、David Roodman G.、Kurihara Noriyoshi
    • 雑誌名

      Journal of Cellular Biochemistry

      巻: 122 ページ: 335~348

    • DOI

      10.1002/jcb.29861

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Alkaline phosphatase in pediatric patients with genu varum caused by vitamin D-deficient rickets2021

    • 著者名/発表者名
      Mukai Masashi、Yamamoto Takehisa、Takeyari Shinji、Ohata Yasuhisa、Kitaoka Taichi、Kubota Takuo、Yamamoto Katsusuke、Kijima Eri、Hasegawa Yasuhiro、Michigami Toshimi、Ozono Keiichi
    • 雑誌名

      Endocrine Journal

      巻: 68 ページ: 807~815

    • DOI

      10.1507/endocrj.EJ20-0622

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Neonatal cholestasis can be the first symptom of McCune-Albright syndrome: A case report2021

    • 著者名/発表者名
      Satomura Yoshinori、Bessho Kazuhiko、Kitaoka Taichi、Takeyari Shinji、Ohata Yasuhisa、Kubota Takuo、Ozono Keiichi
    • 雑誌名

      World Journal of Clinical Pediatrics

      巻: 10 ページ: 7~14

    • DOI

      10.5409/WJCP.V10.I2.7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Genotype-phenotype analysis and the importance of the zinc binding site of PHEX using 3D structure modeling in Japanese patients with X-linked hypophosphatemic rickets2021

    • 著者名/発表者名
      Y. Ohata, Y. Ishihara, S. Takeyari, T. Kitaoka, M. Fujiwara, Y. Nakano, K. Yamamoto, C. Yamada, K. Yamamoto, T. Michigami, H. Mabe, T. Yamaguchi, K. Matsui, I. Tamada, N. Namba, A. Yamamoto, J. Etoh, A. Kawaguchi, R. Kosugi, K. Ozono, and T. Kubota
    • 学会等名
      American society for bone mineral research annual meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Year Book 1 骨代謝2021

    • 著者名/発表者名
      大幡泰久
    • 学会等名
      日本小児内分泌学会
    • 招待講演
  • [学会発表] Genotype-phenotype analysis, and assessment of the importance of the zinc-binding site in PHEX in Japanese patients with X-linked hypophosphatemic rickets using 3D structure modeling2021

    • 著者名/発表者名
      大幡 泰久、石原 康貴、武鑓 真司、北岡 太一、藤原 誠、中野 由佳子、山本 賢一、 山田 知絵子、山本 勝輔、道上 敏美、間部 裕代、山口 健史、松井 克之、玉田 泉、 難波 範行、山本 晶子、江藤 潤也、河口 亜津彩、小杉 理英子、窪田 拓生、大薗 恵一
    • 学会等名
      日本小児内分泌学会
  • [学会発表] 副甲状腺機能低下症の診断と治療2021

    • 著者名/発表者名
      大幡泰久
    • 学会等名
      臨床内分泌Update
    • 招待講演
  • [図書] 小児内分泌学 改訂第3版2022

    • 著者名/発表者名
      日本小児内分泌学会
    • 総ページ数
      688
    • 出版者
      診断と治療社
    • ISBN
      978-4-7878-2472-1

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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