研究課題
前年度までの実験により、肛囲刺激により排泄させた新鮮胎便を500mg/mlの濃度でPBSに懸濁し、ヒト胎便懸濁液(Meconium slurry, MS)を作成し、4日齢マウスへ200μL腹腔内投与することで、体重増加の減退と死亡率の増加を呈するMSモデルを作成した。本年度は、まず異なるヒト胎便を用いた場合におけるMSモデルの表現型について検討した。その結果、同様の胎便採取方法・溶解方法を用いた場合でも、50%程度の7日間生存率を呈するMS保存液と、ほぼ全例が死亡するMS保存液に二分されることがわかった。そこで、これらのMS保存液を、BHI培地で24時間培養したところ、前者では細菌繁殖を認めないものの、後者では細菌コロニーが形成されることを確認した。以上の結果から現時点では、無菌状態の胎便を用いる限りにおいて、4日齢マウスを用いたMSモデルは一定の再現性を有すると考えている。一方で、後者のMS保存液における胎便への細菌混入が、採取時の手技によるものか、児の腸管内で既に繁殖していたものかについては未だ結論できていない。ついで、MSモデルが他の敗血症モデルと病態生理学的に異なることを確認する目的で、MSモデルと早産児マウス敗血症(Cecal Slurry, CS)モデルにおける抗生剤の有効性の比較を行った。方法は、4日齢マウスへImipenem(IPM, 100mg/kg)を皮下投与後、MS200μLまたはCS2.0mg/gを腹腔内投与し、7日間の生存率を比較検討した。CSモデルにおいてはIPM投与により有意に生存率の改善を認めた一方、MSモデルでは生存率の改善を認めなかった。以上より、本検討のMSモデルにおいては、病態への細菌感染の影響はないと判断した。今後は、MSモデルの生化学的・組織学的評価を行い、モデルの確立、治療法の開発へ進みたいと考えている。
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