研究課題/領域番号 |
18K15713
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長野 智那 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (60814316)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | WT1 / Frasier症候群 |
研究実績の概要 |
Frasier症候群は晩発性で緩徐に進行する腎障害、男性性分化異常およびWilms腫瘍や性腺腫瘍の発症を特徴とする症候群であり、現在まで特異的治療法は存在しない。そのため本研究では、Frasier症候群を認める発症頻度や変異の部位による表現型の違いを明らかにするとともに新しい治療法の開発を目指し実験を行っている。 次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子腎診断体制を確立し、平成26年の開始時から数えると、SRNSにおける依頼検体は平成30年度12月の時点で230検体に達した。19検体にWT1遺伝子の異常を同定し、そのうち7例でFrasier症候群と診断している。変異の部位としては4例がIVS9+4の変異で、3例がIVS9+5の変異である。 また、WT1遺伝子エクソン9を含んだminigene constructを作成した。このminigene constructを使用し、mutagenesisにより既報のWT1遺伝子イントロン9の変異を挿入した。その後、培養細胞にトランスフェクトし、mRNAを強制発現させる実験を行った。結果は、正常配列を導入した細胞からは正常トランスクリプトおよび-KTSmRNAの両方が検出されたが、各変異を導入した細胞からはすべて-KTSmRNAのみが検出された。変異の場所による-KTSmRNA発現パターンの変化は見られなかった。既報のFrasier症候群における遺伝子変異の部位による臨床的重症度に差は見られず、今回のin vitroでの解析は臨床での表現型を裏付ける結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子腎診断体制を確立しているため、全国から検体を集める事が出来ており一定量の検体が得られている事が研究の進展につながっている。 また、minigene constructに関しては当研究室では他の遺伝性腎疾患のスプライスサイト変異に対して病因確認のために使用し成果を修めている実績がある。そのためFrasier症候群において、変異の部位ごとのスプライシング異常発生メカニズムの解明を行う際に有用であった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、―KTS スプライシング産物の産生抑制ではなく、+KTSスプライシング産物の増加を目指しKTSのバランスが補正することが治療に応用出来るのではないかと考えている。そのため、アンチセンス治療薬を投与し+KTSmRNAの増加を得られないかとminigene constructで確認しているところである。マウスとヒトではExon9周辺の配列は、ほぼ同じであるためアンチセンス治療薬をマウスモデルで試し、臨床への応用へとつなげていきたい。
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