R1年度に開発した血管新生阻害活性を有するCBF1アプタマーの血管内皮細胞への効率的な細胞内導入の系の構築を行なった。共同研究先企業から提供された脂質ナノ粒子を用いて、CBF1アプタマーを内包した脂質ナノキャリアを調整し、血管内皮細胞に処理した結果、リポフェクション法よりも効率よく、DNAアプタマーを細胞内に導入できる事が分かった。この血管新生阻害活性を有するCBF1アプタマーはCBF1の機能を活性化して、下流のNotchシグナル遺伝子の発現を上昇させている事を明らかにした。また、新しい血管新生制御因子として、同定したKBTBD proteinの血管内皮細胞における機能を調べた結果、KBTBD proteinの発現抑制によって、血管内皮細胞のtube formationが著しく阻害される事が分かった。KBTBD proteinはCUL3型ユビキチンリガーゼの基質認識受容体で、標的基質タンパク質と直接結合する事で、ユビキチン化を促す。そこで、KBTBD proteinの基質タンパク質を探索するために、愛媛大学が保有するヒトプロテインアレイの中から、アルファスクリーンを用いてKBTBD proteinの直接結合タンパク質の探索を実施した。その結果、複数のKBTBD protein結合タンパク質の同定に成功した。今後はKBTBD protein及び、当該結合タンパク質の乳児血管腫組織における発現を組織染色法で精査し、血管新生における機能を解析していく。
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