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2019 年度 実施状況報告書

新規ヨードトランスポーターによる先天性甲状腺機能低下症の疾患概念の確立

研究課題

研究課題/領域番号 18K15723
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

青山 幸平  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (40812095)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードSLC26A7 / 先天性甲状腺機能低下症 / ヨードトランスポーター
研究実績の概要

ヨードは甲状腺ホルモンの原料として必須の微量元素であるが、ヨードの甲状腺内への輸送メカニズムはいまだ十分に解明されていない。私たちは甲状腺ホルモン合成障害の家系に、これまで疾患の報告が無かったSLC26A7遺伝子のホモ接合性機能喪失型変異を同定した。SLC26A7遺伝子は甲状腺濾胞細胞の管腔側のヨード輸送を行うSLC26A4遺伝子のサブファミリーであることが知られていたが、これまでにヒトでの意義はほとんどわかっていなかった。私たちはSLC26A7とSLC26A4の相同性からSLC26A7蛋白が新規ヨードトランスポーターであると仮定し、局在や機能を明らかにすることを目的とした。
健常人の甲状腺組織を用いて免疫染色を行ったところ、SLC26A7蛋白は甲状腺濾胞細胞の管腔側優位に発現していた。哺乳類細胞を使用してSLC26A7蛋白のヨード輸送能を評価したところ、コントロールと比較して濃度依存性にヨードの輸送が見られた。また患者の変異を導入することで細胞での局在変化を認め、ヨード感受性YFP変異体を用いた実験によりヨード輸送能が有意に低下することを確認した。以上から、新規ヨードトランスポーターであるSLC26A7遺伝子の両アレル機能喪失型変異が甲状腺腫を伴う先天性甲状腺機能低下症を引き起こすことを示した。現在、さらにCRISPR-Cas-9によるSLC26A7遺伝子のノックアウトマウスを作成し、異なるヨード食餌環境下における甲状腺機能や甲状腺ホルモン合成に関連する遺伝子発現を調べている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

健常人の甲状腺組織を用いて免疫染色にてSLC26A7蛋白が甲状腺濾胞細胞の管腔側優位に発現していることを確認した。また哺乳類細胞を使用してSLC26A7蛋白のヨード輸送能を評価し、コントロールと比較して濃度依存性のヨード輸送を証明した。また患者の変異を導入することで細胞での局在変化を認め、ヨード感受性YFP変異体を用いた実験によりヨード輸送能が有意に低下することを確認した。以上から、新規ヨードトランスポーターであるSLC26A7遺伝子の両アレル機能喪失型変異が甲状腺腫を伴う先天性甲状腺機能低下症を引き起こすことを証明した。さらに、SLC26A7遺伝子のノックアウトマウスが作成し、現在、異なるヨード食餌環境下における甲状腺機能や甲状腺ホルモン合成に関連する遺伝子発現を調べている。

今後の研究の推進方策

SLC26A4のノックアウトマウスとの比較や、SLC26A7とSLC26A4のダブルノックアウトマウスとの表現型の比較をすることで、それぞれのヨードトランスポーターの相互的な関係について明らかにしたい。また新規患者検索を進め、ヒトにおけるSLC26A7遺伝子異常による臨床像の確立を目指す。

次年度使用額が生じた理由

ノックアウトマウスの作製に時間がかかったため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Congenital goitrous hypothyroidism is caused by dysfunction of the iodide transporter SLC26A72019

    • 著者名/発表者名
      Ishii Jun、Suzuki Atsushi、Kimura Toru、Tateyama Michihiro、Tanaka Tatsushi、Yazawa Takuya、Arimasu Yu、Chen I-Shan、Aoyama Kohei、Kubo Yoshihiro、Saitoh Shinji、Mizuno Haruo、Kamma Hiroshi
    • 雑誌名

      Communications Biology

      巻: 2 ページ: 1-11

    • DOI

      10.1038/s42003-019-0503-6

  • [学会発表] 新規ヨードトランスポーターSLC26A7 遺伝子の両アレル機能喪失型変異は甲状腺腫を伴う先天性甲状腺機能低下症を引き起こす.2019

    • 著者名/発表者名
      鈴木敦詞, 石井順, 吉田あや, 山口直哉, 田中達之, 青山幸平, 立山充博, 陳以珊, 久保義弘, 木村徹, 矢澤卓也, 有益優, 菅間博, 齋藤伸治, 水野晴夫.
    • 学会等名
      第53回日本小児内分泌学会学術集会
  • [学会発表] Homozygous loss-of-function mutation in the SLC26A7 gene coding a novel iodide transporter causes goitrous congenital hypothyroidism.2019

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Suzuki, Jun Ishii, Aya Yoshida, Naoya Yamguchi, Tatsushi Tanaka, Kohei Aoyama, Michihiro Tateyama, I-Shan Chen, Yoshihiro Kubo, Toru Kimura, Takuya Yazawa, Yu Arimasu, Hiroshi Kamma, Shinji Saitoh, Haruo Mizuno.
    • 学会等名
      The 58th Annual ESPE Meeting

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公開日: 2021-01-27  

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