• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

STXBP1関連てんかん性脳症の軸索輸送障害に着目した新たな病態機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K15724
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

戸澤 雄紀  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30804950)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードてんかん性脳症 / STXBP1 / Munc18-1 / タンパク質異常凝集 / 軸索輸送障害 / 神経変性 / 細胞死
研究実績の概要

本研究の目的は、 STXBP1関連てんかん性脳症の病態として、Munc18-1の神経伝達物質の調節障害とは異なる機能障害が存在すると想定し、その病態を解明することで、既存の抗てんかん薬以外の新たな分子標的治療の開発につなげることである。まず新たな機能を見出すために、新規相互作用因子の検索に着手した。相互作用因子の手法としては、ビオチン標識法(BioID法)を用いた。ヒト神経芽細胞腫(SH-SY5Y細胞)からmRNAを抽出し、RT-PCRでcDNAライブラリーを採取、C末端にHAタグを付加したMunc18-1をPCRで増幅し、あらかじめビオチンリガーゼ(BirA)を挿入した動物細胞発現用ベクターに制限酵素処理をしてライゲーションを行なった。完成したコンストラクトをHEK293細胞に導入し、タンパク質の発現をチェックし、またシークエンスにて配列の確認を行なった。
BioID法に用いるホスト細胞としては、PC12細胞を用い、エレクトロポレーション法でN末端にBirA、C末端にHAタグをfusionさせたMunc18-1の安定発現株を作成した。Biotinを添加した24時間後に細胞を界面活性剤で可溶化し、Munc18-1の近傍に存在するビオチン化されたタンパク質をアビジンビーズで吸着させ、相互作用因子をLC-MS/MS解析にて同定した。対照として発現ベクターを導入していない細胞にBiotinを添加したものを用い、内在性のビオチン化タンパク質や非特異的にアビジンビーズに吸着されたものを除外し、相互作用因子の候補タンパク質を複数同定した。現在相互作用因子を、免疫共沈降実験や免疫染色で共局在の確認を行なっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

BioID法に用いるホスト細胞として、当初マウス海馬由来のHT22細胞を用いたが、BioID法で同定された候補相互作用因子に既知の相互作用因子が含まれていなかった。HT22細胞がホスト細胞としては不適切である可能性を考慮し、別のホスト細胞としてPC 12細胞を用い、エレクトロポレーション法でBirAを癒合したMunc18-1を安定発現させて、BioID法を用いて相互作用因子の検索を再度行ったため。

今後の研究の推進方策

BioID法によるインタラクトーム解析で挙げられた候補相互作用因子には、タンパク質の機能として神経軸索伸長に関わるものや小胞体から形質膜までのタンパク質の輸送に関わるものなどが含まれていた。現在Munc18-1とそれらの候補タンパク質との相互作用を免疫共沈降実験や免疫染色を用いて確認を進めている。
当研究グループでは、STXBP1脳症患者と健常者由来のiPS細胞を既に樹立しているが、今回新たに、ゲノム編集(CRISPR/Cas9)により変異修復した細胞を樹立した。今後はこれらを神経細胞に分化誘導したものを用い、疾患とコントロールにおける神経細胞の形態の違いやMunc18-1と相互作用因子の挙動の違い、タンパク質の異常凝集などをIn Cell Analyzerなどを用いて解析し、STXBP1脳症の新たな病態解析基盤を構築する。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では本年度にiPS細胞を用いた病態解析に入る予定であったが、相互作用因子の同定に時間を要したため、実験計画に遅れが生じている。次年度に未使用分と翌年度助成金を合わせてiPS細胞を用いた病態解析の費用に使用する。

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi