STXBP1脳症の病態解明のため、Munc18-1の新規相互作用因子解析を、PC12細胞をホスト細胞としたビオチン標識法(BioID法)を用いて行なった。アビジンビーズで回収したビオチン化蛋白質をウェスタンブロットで確認したが、Munc18-1のビオチン化が不十分であり、LC-MS解析でも既知の相互作用因子Syntaxin-1Aがヒットせず、相互作用因子の同定は困難と判断した。そこでMunc18-1のC末端にHAタグを付加したコンストラクトを作成し、PC12細胞に恒常性発現させ、抗HA抗体ビーズでタンパク質複合体を回収しLC-MS解析で新規相互作用因子の候補を検索した。その結果、Munc18-1 の新規候補相互作用因子として中枢神経に発現するモータータンパク質Myosin-Vaが候補に上がり、細胞Lysateを用いたウェスタンブロットでも確認できた。 内在性のMunc18-1とMyosin-Vaとのinteractionを確認するために、マウス脳lysateをMunc18-1の抗体で免疫沈降したところMyosin-Vaが共沈降し、Myosin-Vaの抗体で免疫沈降をしても、Munc18-1が共沈降された。またマウス初代培養海馬神経細胞でも、Munc18-1とMyosin-Vaが共局在することを確認できた。 健常父由来のiPS細胞とSTXBP1ナンセンス変異を有する患児由来のiPS細胞に加えて、患者由来iPS細胞をCRISPR/Cas9で変異修復し、isogenic controlを作成した。各iPS細胞をグルタミン酸ニューロンに分化させるため、piggyBacトランスポゾンを用いてプラスミドを導入し神経分化させ、選択的な発現をReal-time PCRで確認した。今後新規相互作用因子Myosin-Vaが病態にどのように関与するかを、iN細胞を用いて検証していく。
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