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2019 年度 実施状況報告書

包括的凝固線溶ダイナミックス解析を基盤とする播種性血管内凝固の新規診断法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 18K15726
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

大西 智子  奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (60645589)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードDICの病型分類 / 凝固線溶波形解析 / トロンビンプラスミン生成試験 / トロンボモジュリン / 新規病型分類 / 包括的凝固線溶動態
研究実績の概要

DIC症例に対して、包括的な凝固能と線溶能を同時に評価可能な凝固線溶波形解析(CFWA)、トロンビン・プラスミン生成試験(T/P-GA)を用いて評価した。DIC症例は74例で、基礎疾患は敗血症57例、血液腫瘍や大動脈瘤など、その他の原因17例であった。 CFWAのパラメータは、最大凝固速度(min1)、最大線溶速度(FL-min1)を用い対正常血漿比で評価した。その結果、DICをtype1(相対的な凝固能優 位 min1比>FL-min1比)、type2(凝固線溶能が均衡min1比≒FL-min1比)、type3(相対的な線溶能優位min1比<FL-min1比)、type4(凝固線溶能の崩壊)の4typeに病型分類することができた。
次にCFWAの各病型におけるトロンビン・プラスミン生成試験(T/P-GA)の動態を評価した。T/P-GAのパラメータとして、凝固能はpeak値(Th-peak)、線溶 能はpeak値(P-peak)を用い対正常血漿比で評価した。 CFWAでtype1と分類された症例のうち、70%がトロンビン生成優位であった。同様に、type3と分類された症例のうち、100%でプラスミン生成優位であり、type4 では75%でトロンビン/プラスミンの両生成が著しく低下していた。一方、type2に分類された症例は、トロンビン/プラスミン生成バランスが均衡している症例は なかった。 CFWA分類による凝固線溶不均衡タイプのDICではトロンビン/プラスミン生成能バランスと概ね相関し、CFWAでの線溶抑制ないしは亢進パターンがT/P-GAでも確認 できた。また患者血漿にDICの治療薬であるトロンボモジュリンを添加し、T/P-GAで評価を行ったところTh-peakの低下(凝固能の抑制)を確認した。様々な濃度のトロンボモジュリンを添加し、患者ごとの反応を評価する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

症例収集に苦戦していることが理由として挙げられる。
DICを発症する患者の頻度は多くないことや、リコモジュリン添加実験を行う際の血漿量が多いため十分な血漿量を確保できなかったことなどが考えられる。

今後の研究の推進方策

引き続き症例を蓄積し、DICの新規病型分類を裏付けるデータをとる。
またDIC治療への応用を進めていく。現在、患者血漿にDIC治療として凝固の抑制を確認している。
今後は臨床的に使用されているリコモジュリン製剤(rTM)を、濃度勾 配をつけて添加する。添加前後の反応を評価し、病型分類と添加前後の反応から、症例ごとのrTM製剤の適正量を検証する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度において症例収集に難渋したために、予定していた解析計画を遂行できなかった。2020年度は症例収集の方法を改善することによって、当 初の計画通りのデータ集積を進めていく計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 凝固線溶均衡/不均衡パターンにより分類したDIC各病型における トロンビン・プラスミンの動態2019

    • 著者名/発表者名
      大西智子
    • 学会等名
      第41回 日本血栓止血学会 学術集会
  • [学会発表] 敗血症性DIC症例における包括的凝固/線溶動態の経時的評価2019

    • 著者名/発表者名
      大西智子
    • 学会等名
      第122回 日本小児科学会 学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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